＊１５８話 ページ9
「……前も、そうだったのに」
樹「…前？」
「……私、美容部員になる前は別の仕事してたの」
樹「………へぇ…」
「まぁ、同じくメイクに関わる仕事だけど…。たまたま私の通ってた専門学校に視察に来てた社長さんにスカウトされて入った、私の…大好きだった職場」
樹「……………」
「…そこでも、人間関係で辞めたの」
樹「……………」
このことを思い出すと、未だに胸がキリキリ痛くなる。
もう、五年以上も前の話なのに。
「その時は…今みたいに余裕なんてなくて…とにかく仕事に慣れることに必死だった」
樹「……………」
「周りの人は…そんな私を可愛がってくれてた」
年上ばかりの現場だったし
尚更可愛がってくれてたんだと思う。
「…でも、長くそこにいた人はそんな私が気に入らなかったみたいで…」
若くて頑張っている、社長にスカウトされた期待の新星。
そんな理由で可愛がられてる私が、気に入らなかったんだと思う。
私の使っているメイクブラシを隠されたり、違う入り時間を教えられて、遅刻したことになっていたり、誰かの犯したミスを擦り付けられたり。
そんな子どもみたいな小さなことが積み重なって…辛くなっちゃって…。
もう無理だなって、プッツリ気持ちが切れちゃって…。
あぁ、もういいやって思った。
そんな子どもじみたいじめを誰かに言う勇気はなかった。
大丈夫だよって笑って許してくれたみんなは、最初から最後までずっと優しかったけど
そんなことが続けば信用問題になる。
不信感を抱かれる前に、消えようと思った。
だから…失礼を承知で、お世話になった社長さんに頭を下げて
挨拶もなしに、その場で仕事を辞めた。
『私のほうが頑張ってるのよ、失敗しても笑って許されるアンタは目障りで仕方ない』
捨て台詞みたいに言われた言葉だった。
一番長く居た先輩で…メイクも上手で周りの人から信頼されてた人だったから。
私が告発して、人の輪を壊すのが嫌だった。
私一人が消えたほうが穏便に済むから。
だから…
だから完璧を目指すようになった。
なんでも一人で出来るようになろう。
周りの人にも目をかけよう。
信頼される人間になろう。
新しい職場でそうやって頑張ってた。
本当は早起きだって苦手。
苦手な料理も克服したし、前までは掃除も大っ嫌いだった。
でも…またあんな目に遭いたくないから、頑張った。
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彼岸花(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます！大好きだって言ってくださって本当に嬉しいです！私のペースでのんびりやっていきたいと思います！夏休み期間に入ったらまたたくさん投稿したいと思っているのでよろしくお願いします！ (8月2日 19時) (
レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - いつも楽しく拝見してます。本当に大好きな作品です。彼岸花さんのペースで！！これからも応援してます。 (8月2日 1時) (レス) @page50 id: 094c8809cf (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - y0u（よぅ）さん» コメントありがとうございます！テストで更新滞ってしまうの本当に申し訳ないです>< なんとか再試ないように頑張りますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (7月25日 18時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
y0u（よぅ）(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！！ テスト、頑張ってください！！笑 (7月25日 14時) (レス) @page42 id: 424b4648f0 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！お久しぶりです、お忙しい中作品を読みに来てくださって嬉しいです！ありがとうございます！これからも自分のペースで頑張っていきたいと思いますので、また読みに来てくださると嬉しいです！ (7月19日 0時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年7月4日 19時
