＊１７５話 side藤原樹 ページ26
え、これ本物のAさん？
今まで絶対意地になって連絡してこなかったよね？
なのに、そんなものは勘違いだったのかと思わせるように
ストレートな言葉をぶつけてきた。
…いや、でもそうだな…。
あの人、天然タラシなところあるからな。
自分の可愛いところとか、なんも分かってないみたいだし。
マースに会いたいとか潤んだ目で言ってきたときとか…
あの時はさすがにどうしてやろうかと思った。
頭にかぶせたままのタオルでガシガシと髪を拭く。
なるべく早く会いたい、とか。
どういう意味で言ってるか分かってんの？この人。
いや、ハンカチ返すだけってのは分かってるけど。
…男は単純なんだから
そういうこと軽々しく言ったら勘違いするんだよ。
…まぁ、全部無意識だろうから期待するだけ意味ないんだけど。
ここまでストレートに言われると
焦らそうとか考えてる自分が情けなく思えてしまう。
そんな気が削がれて…
俺の指は勝手にフリックして
送信ボタンを押す。
樹今日でもいいなら夜空いてる
いつもは振り回す側なのに
会おうって強引に言って
困らせて楽しむ側なのに。
Aじゃあ今日の19時。
お店はここの個室、私の名前で予約しておく
淡々とした業務連絡みたいな色気のない誘いに乗って
俺は今日…自分から彼女に会いに行こうとしている。
樹「…一回家帰ろ」
今日の夜の予定が埋まった。
店もいい感じに俺好みだし、もうちょっとまともな格好しようかな。
…決してあの人と会うからトレーニング着じゃ嫌ってわけじゃない。
自分の心に言い訳していた時。
ピコンッとまた通知音が鳴った。
まだ何かあるのかと思ってスマホを見れば…
送り主はAさんじゃなかった。
樹、久しぶりに会いたいな!今日ご飯行かない?
モデルのあの子からだった。
久しぶり、っていっても先週会ったばっかなんだけど。
最近頻度が高くなってね？
タイミング悪いな。
思わずめんどくさいと思ってしまった自分に笑いが漏れる。
お願い、とご丁寧にハートマークまでつけて追い打ちをかけてくる彼女。
…だけど
彼女にとって今日は平日で、なんでもない日かもしれないけど。
俺にとっては特別。
あの人が初めて俺を誘ってくれた記念日だから。
樹今夜は少しも時間裂けないくらい忙しい
そう送って、スマホの通知を切った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彼岸花(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます！大好きだって言ってくださって本当に嬉しいです！私のペースでのんびりやっていきたいと思います！夏休み期間に入ったらまたたくさん投稿したいと思っているのでよろしくお願いします！ (8月2日 19時) (
レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - いつも楽しく拝見してます。本当に大好きな作品です。彼岸花さんのペースで！！これからも応援してます。 (8月2日 1時) (レス) @page50 id: 094c8809cf (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - y0u（よぅ）さん» コメントありがとうございます！テストで更新滞ってしまうの本当に申し訳ないです>< なんとか再試ないように頑張りますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (7月25日 18時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
y0u（よぅ）(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！！ テスト、頑張ってください！！笑 (7月25日 14時) (レス) @page42 id: 424b4648f0 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！お久しぶりです、お忙しい中作品を読みに来てくださって嬉しいです！ありがとうございます！これからも自分のペースで頑張っていきたいと思いますので、また読みに来てくださると嬉しいです！ (7月19日 0時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年7月4日 19時
