＊１５１話 side川村壱馬 ページ2
「……どうして…」
壱「…だから、俺は…」
「っどうして…私じゃダメなんですかぁ…？」
壱「………はっ？」
ボロボロと大粒の涙を零す彼女に、目を丸くしたまま固まってしまった。
ぐすぐすと鼻を鳴らして、シャツの袖で涙を拭いている。
「なんで！？私だって壱馬くんの接客したいのにぃ！！」
壱「…え……は…？」
「どうして！？なんであの人なの！？」
壱「っ何して…」
俺の服を掴んで迫ってくる彼女に数歩下がるけど
全然離れてくれない。
いきなり泣かれたことと、彼女の言ってる意味が分からなくて、言葉が出てこない。
「私はこんなに壱馬くんのこと好きなのにぃっ！！」
壱「っ離してください…！」
彼女の叫ぶような大きな泣き声は、当然大勢の客の視線を惹きつけていた。
最悪だ、不味すぎる…！
「ヤダヤダヤダぁ！！壱馬くんっ！！」
壱「ちょっ…」
子どもみたいに駄々を捏ねて俺に抱き着きてくる彼女を、さすがに力ずくで引き離した。
それでも手を伸ばして、俺の服に縋り付いてくる。
なんやねんこの女…！
「ちょっと！お客様に何してるの！？」
聞きなれた声に、ハッとして顔を上げると
血相変えたAさんが走ってきた。
彼女の姿に少しホッとする。
俺と泣いている彼女の間に入るAさんは、俺を守ってくれているみたいだった。
「か、壱馬様、大丈夫ですか！？」
壱「俺は大丈夫ですけど…」
「とりあえず、人目につきますので店の奥のほうへ…」
壱「…すいません、俺…」
「お気になさらず、こちらこそ後輩の指導が行き届いてなくて…お恥ずかしいばかりです。…大変申し訳ございませんでした」
俺に向かって深々と頭をさげる彼女に、慌てて首を横に振る。
壱「いえ、顔上げてください」
「壱馬様…」
壱「Aさんが謝ることやないから」
ようやく頭をあげてくれたけど…。
彼女の顔色は優れない。
右耳に輝くサファイアがよく目に入るくらい、顔が真っ白になっている。
いつもの笑顔は消えていて…心から申し訳なさそうな顔をしていた。
「小川さん、とりあえずあなたも…」
Aさんが振り返ってそう言った時だった。
バチンッ！！！
尋常じゃないくらいの破裂音のような音が
デパートに響き渡った。
ふらり…目の前の女性が、床に倒れた。
壱「っAさん！！！」
＊
ごめんなさい、話の構成的に新章一話目からかなりな修羅場になってしまいました…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彼岸花(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます！大好きだって言ってくださって本当に嬉しいです！私のペースでのんびりやっていきたいと思います！夏休み期間に入ったらまたたくさん投稿したいと思っているのでよろしくお願いします！ (8月2日 19時) (
レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - いつも楽しく拝見してます。本当に大好きな作品です。彼岸花さんのペースで！！これからも応援してます。 (8月2日 1時) (レス) @page50 id: 094c8809cf (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - y0u（よぅ）さん» コメントありがとうございます！テストで更新滞ってしまうの本当に申し訳ないです>< なんとか再試ないように頑張りますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (7月25日 18時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
y0u（よぅ）(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！！ テスト、頑張ってください！！笑 (7月25日 14時) (レス) @page42 id: 424b4648f0 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！お久しぶりです、お忙しい中作品を読みに来てくださって嬉しいです！ありがとうございます！これからも自分のペースで頑張っていきたいと思いますので、また読みに来てくださると嬉しいです！ (7月19日 0時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年7月4日 19時
