百五十九通目 ページ10
臣「俺が頼んだんだよ、モデルが急遽来れなくなったから、代わりにって」
そう言ってお兄ちゃんが、マスクと眼鏡を外した。
「……えっ！？えぇっ！？きゃあああっ！！臣くんだぁ！！」
景さんの腕に絡まっていた彼女がするりと抜けて、お兄ちゃんの隣に座る。
さっきまでの態度も全部お兄ちゃんに見られてたというのも忘れて
媚びた声で、恋する乙女のような顔でお兄ちゃんを見上げていた。
唖然とした表情でそんな彼女を見やる景さんに、お兄ちゃんが鼻で笑った。
「なんで…」
「…私も"登坂"だから」
「っ！！騙してたのかっ…！！」
彼の顔が怒りに染まる。
私の隠し事を騙してたと形容する彼とは…やっぱりやっていけない。
大好きな元カノをお兄ちゃんに取られた彼は、怒りとショックの混ざったような顔をしていた。
臣「お前に怒る権利があると思ってんのか」
「はぁ！？俺はお前のせいでめちゃくちゃに…！！」
臣「知らねぇよ。俺の妹をあんな目にあわせておいてなんでテメェがキレてんだよ」
「っ…そもそもお前がいなかったら、俺は元カノとも別れてねぇんだよ！！」
臣「俺が直接何かしたわけでもねぇだろ。そういうのを逆恨みって言うんだよ」
「ま、待って！景、臣くん！喧嘩しないで！」
元カノさん、嬉しそうに笑ってるけど…
あなたのために争ってるとかそういうのじゃない。
最初から論点が違う。
お兄ちゃんは、私がドタキャンされて風邪をひいたことに怒ってて
景さんは、そもそもそうなったのはお兄ちゃんという存在がいたから…みたいな話してる。
頭の痛くなりそうなすれ違いの喧嘩。
臣「一番にAのこと愛してるやつが、悲しませてんじゃねぇよ」
「っ…お、俺は！」
臣「ほかの女にフラフラ行くようなやつは俺の妹に相応しくない」
そう言って立ち上がったお兄ちゃんに、私も慌てて立ち上がる。
もう帰る気満々だ。
…なぜか元カノさんも立ち上がってお兄ちゃんの腕に絡みついてるけど。
臣「二頭追うものは一頭も得ず。お前ごときが俺の妹天秤にかけてんじゃねぇよ」
行くぞ。そう言って私の手を引くお兄ちゃん。
…本当に怒ってくれてるのが分かる。
…ごめんねお兄ちゃん。私心配かけてばっかりで。
「…さようなら」
放心状態の景さん…倉本さんを置いて、私たちはカラオケボックスを出た。
冷たい外の空気がようやく緊張を緩和してくれた。
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玲生(プロフ) - もーーさいこうでした！！！ (5月1日 22時) (
レス) @page47 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます！応援ありがとうございます、活力になります！新作もぜひ覗いて見てください！ (2023年4月11日 10時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - コメント失礼します！完結おめでとうございます！この作品が更新される度にドキドキワクワクしてました😆これからもから陰ながら応援しております！新作楽しみです💗 (2023年4月11日 7時) (レス) @page47 id: 44272a33cd (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - みーこさん» コメントありがとうございます！結婚後のお話は考えていませんでしたが前向きに検討したいと思います！新作もぜひ覗いて見てください！ (2023年4月10日 9時) (レス) @page47 id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます👏毎回、更新を楽しみにしてました。結婚後のお話を書いて欲しいです。新作も楽しみにしております。 (2023年4月10日 6時) (レス) @page47 id: 9ba221d380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年3月18日 18時
