百九十三通目 ページ44
「ひゃぁっ…寒い！」
二月下旬とはいえ、すごく寒い。
お庭で撮らないといけないし、お仕事だから仕方ないけど。
背中の空いたドレスだし、尚更寒い。
壱「ごめん、なるべく早く終わらせて暖かいとこ行こうか」
「うん」
「今回はみんな自由にしてもらってるから、好きに動いていいよ」
「えっ、す、好きに？」
壱「まぁ、言っちゃえばアドリブだね」
「え、できるかな…」
壱「俺がリードするから、ただ俺のこと考えてればいいよ。カメラのことは忘れて」
「う、うん」
壱「ほら、おいで」
カメラの前に立つ彼は、いつもと雰囲気がガラリと変わる。
芸能人の彼を前にした気がして…一気に緊張感が増してくる。
広々とした芝生の上をヒールで歩くのは少し歩きづらいけど…
彼が手を引いてくれる。
確かに、控室で見た撮影の様子は、みんなそれぞれ違う行動をとっていた気がする。
チャペルが見えてきて、大きなベルの下に着いたとき。
壱馬くんがいきなり膝を着いた。
ひらり、彼のジャケットが風に揺れて舞う。
驚く私を前に彼は小さく微笑んで…私の手を握る。
そして…
「っ！！？」
彼が、私の左手の薬指に、指輪を通した。
え…？
これって…小道具…？
それにしては…私の指のサイズピッタリで…。
すごくしっかりしてて…
ダイヤの輝きが目を眩ませる。
カメラの前なのに…
彼は一度も…カメラに視線を投げかけない。
しっかり私の目を、見ていて…。
壱「…いつか、本物の結婚式を」
「っ…！！」
壱「約束」
…うそっ…本当に…？
優しく微笑んだ彼に、胸がいっぱいになって、目に涙が滲む。
カメラの前なのに、撮影の本番なのに…。
でも…もうそんなことも考えられないくらい、私は彼一人に夢中になっていた。
今起こってることも、何もかも夢なんじゃないかって思ってしまう。
それなのに、私の手を握る彼の手が…らしくもなく震えていて…。
痛いくらい彼の想いや覚悟が伝わって来て
私はただ涙をこらえるしかできない。
でも…。
「…はいっ」
私の出来る精いっぱいの笑顔を返した。
カットが掛かった瞬間、お互い引き寄せ合うようにどちらからともなく抱き合った。
こんなサプライズがあるなんて思ってなかった。
芸能人である彼が…
不確定な未来を…将来を、確かなものにすると約束してくれた。
…記録に残る、カメラの前で…。
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玲生(プロフ) - もーーさいこうでした！！！ (5月1日 22時) (
レス) @page47 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます！応援ありがとうございます、活力になります！新作もぜひ覗いて見てください！ (2023年4月11日 10時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - コメント失礼します！完結おめでとうございます！この作品が更新される度にドキドキワクワクしてました😆これからもから陰ながら応援しております！新作楽しみです💗 (2023年4月11日 7時) (レス) @page47 id: 44272a33cd (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - みーこさん» コメントありがとうございます！結婚後のお話は考えていませんでしたが前向きに検討したいと思います！新作もぜひ覗いて見てください！ (2023年4月10日 9時) (レス) @page47 id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます👏毎回、更新を楽しみにしてました。結婚後のお話を書いて欲しいです。新作も楽しみにしております。 (2023年4月10日 6時) (レス) @page47 id: 9ba221d380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年3月18日 18時
