五十六通目 ページ7
……私、本当に何やってるんだろう。
「髪の毛綺麗ですね〜！」
「お肌も綺麗〜！メイク映えしますー！」
髪の毛をアイロンで通されて巻かれる。
人に化粧されるとかデパートのコスメ売り場でしか経験ないのに。
ばっちり、完璧な化粧を施された。
洋服は着たことないようなフリフリの白いワンピース。
レースたっぷりで可愛いけれど、私が普段着ないようなもの。
憧れではあったけど、もう25歳だしって、敬遠していたものだけど。
完璧なお化粧でいつもよりもかわいくなった自分にちょっと自信が湧いてくる。
「モデルさんみたいに可愛いですよ！」
「映らないらしいですけど、めちゃくちゃかわいくしておきますね！」
「登坂さん喜びますよ！」
ヘアメイクさん二人がキャーッと喜んでいた。
本当に私、こんなところで何やってるんだろう…。
＊
こうなったきっかけは数時間前にさかのぼる。
ちなみに今日、私は普通にお仕事がありました。
一日中資料をデータに打ち込む作業をしていて、朝から少し疲れていた。
そんな午前十時のこと。
スマホに電話がかかってきたのだ。
上司に断りを入れて、念のために廊下に出て電話を取った。
「もしもし？お兄ちゃん？」
臣「あ、A？悪い、仕事中に」
「ううん、大丈夫だけどなんかあった？」
臣「それが、緊急事態でさ…」
「え、何かあったの…？」
私がお兄ちゃんを頼ることはあっても、お兄ちゃんが私を頼ることは少ない。
臣「今MVの撮影に来てるんだけど」
「う、うん」
臣「MVに参加するはずだったモデルさんが来れなくなってさ、代わりに来てくれない？」
「……はっ？」
お兄ちゃんの言ったことを理解できなかった。
え、え？
「わ、私顔なんて出せないよ！それにモデルさんの代わりになるようなことなんて…！」
臣「大丈夫、顔は映さなくていいように許可は取ってる。一応メイクはしてもらうけど」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん！？」
臣「頼む、今日だけ来てくれない？今日撮影が終わらないとCDの発売日とか遅れるかもしれないんだ」
ぐっ…それは大問題すぎる…。
それにいつもお世話になっているお兄ちゃんに、恩を返すチャンスっていうのも分かっている。
臣「メインは俺らだし、がっつり映ることはないよ」
「…わかったよ…」
本当に焦ってる声色に、私は頷くしかなかった。
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彼岸花(プロフ) - 夜宵-yayoi-さん» コメントありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2023年2月19日 23時) (
レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
夜宵-yayoi-(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 21時) (レス) @page50 id: 213e291fb2 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！続編も見ていただけると嬉しいです！！ (2023年2月19日 21時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 19時) (レス) @page50 id: 1db2654d16 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！幸せになるまでもう少しかかりますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (2023年2月17日 21時) (レス) @page46 id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年1月24日 18時
