七十九通目 ページ30
お兄ちゃんにいきなり呼び出されて赴いた居酒屋。
店員さんに案内してもらった個室の扉を開いて
さっそく文句を言おうと思ったのに…。
お兄ちゃん以外に人がいることに気づいて、言葉が出なくなった。
黒髪に、黒いスキニーに黒のシャツ。
全身真っ黒の男の人。
耳についているシルバーのピアスがキラキラと照明に反射していた。
…なんで、だろう。
この人から、目が離せない…。
同じく私を見返す彼と目が合う。
途端に、ぶわりと全身に熱風が吹いたような感覚がした。
臣「A」
「え…？」
臣「はい、俺の後輩」
「…後輩って……」
壱「…川村です。川村壱馬」
少し低くて…色気のある声。
はじめて直接聞く彼の声に、全身が固まった。
間違いない、本当に…。
「かっ…壱馬、さん！？」
な、なんで！？なんでここに！？
わ、わわわ、私、ただお兄ちゃんとご飯食べるだけかと思って……。
臣「じゃ、俺は帰るな」
「お兄ちゃん！？」
壱「え、臣さん！？」
臣「あとは二人で楽しんで」
そう言って机に万札を数枚置いていくお兄ちゃんに、本当に理解が追い付かなくなる。
ふ、二人きりにするの！？
臣「じゃ、頑張れよ〜」
ポンっと私と壱馬さんの頭を撫でると、私の引き留める手も虚しく、荷物を持って行ってしまった。
……どうしよう…。
会っちゃった…。
壱馬さんに…。
壱「……とりあえず、座りませんか」
「は、はひっ…」
言われたまま、お兄ちゃんが座ってた場所に座る。
…けど…。
顔が見れない…。
いや、さっきまでガン見してたんだけど。
…どうしよう、壱馬さん…。
すっごくかっこいい…。
眼鏡外して来いって言うから、結構いい感じの雰囲気の店なのかと思って、化粧直しはしてきたけど…。
私、何か変なとこないかな！？
うわぁ、こんな色気のないスーツじゃなくて、もうちょっとかわいい格好して来ればよかった！！
お兄ちゃんの馬鹿！！
壱馬さんいるなら言ってよ！！
壱「…………」
「…………」
ヤバい、こんなに無言が続いたの、最初の電話以来じゃない？
なんだか気まずくて俯いてしまう。
どうしよう、なんて声かけていいか…分かんない…。
その時。
ふわりと香水の香りがした。
そのいい香りに顔を上げれば…
向かいに座っていたはずの壱馬さんが
いつの間にか私の隣に座っていた。
＊
言うのが遅いですが、昨年下書きを作ったものなので時系列ずれてます。すいません。
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彼岸花(プロフ) - 夜宵-yayoi-さん» コメントありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2023年2月19日 23時) (
レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
夜宵-yayoi-(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 21時) (レス) @page50 id: 213e291fb2 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！続編も見ていただけると嬉しいです！！ (2023年2月19日 21時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 19時) (レス) @page50 id: 1db2654d16 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！幸せになるまでもう少しかかりますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (2023年2月17日 21時) (レス) @page46 id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年1月24日 18時
