七十八通目 side川村壱馬 ページ29
臣「写真見る？」
壱「えっ！！」
臣「何枚か貰ったんだよね。壱馬にならあげるよ」
そう言って渡された茶封筒は、少し厚みを感じる。
…これを開ければ、Aさんの顔が見れる。
今日も、ずっと考えてた…。
顔見たい。
顔見て話がしたい。
…会いたい。
…でも。
臣「…見ないの？」
壱「…はい」
臣「なんで？Aと仲悪かったっけ」
壱「いえ、俺は逆やと思ってますけど…」
まだ
壱「…初めて会うなら、写真じゃなくて直接がいいです」
一方的に知る訳にはいかない。
Aさんが芸能人としての俺の顔を知らないでいたいなら。
俺はそれに付き合う。
彼女が俺に会いたいって思った時に、会いたい。
…そんな日が今後来るかは分からないけど。
臣「そっか」
壱「はい、だから……」
臣「じゃあ呼んでやるよ」
壱「………えっ？」
スマホを操作して耳に当てる臣さんの姿に固まった。
壱「ちょ、お、臣さっ…」
臣「しー…」
唇に指をあててウインクする臣さんにこんな時なのに心臓を撃ち抜かれた気持ちになる。
大人しく黙ってしまう自分は、本当に臣さんの忠犬なのだと思った。
臣「あ、もしもし」
通話が繋がって、ぎくりと身体が強張った。
臣「今から〇〇って居酒屋来てよ」
「……！…〜！」
臣「文句なら着いてから聞く。あ、そのだっせぇ眼鏡外して来いよ」
「……〜…」
臣「ちゃんと家まで送ってやるから」
チラッと視線を寄こされた。
それ、俺が送ってくってことですか。
少ししてスマホを耳から外すと通話を切った。
臣「来るってさ」
壱「！」
まさか、まさかのタイミングだ。
壱「Aさんは俺がいるって知ってるんですか」
臣「知らない」
壱「っ…」
臣「じゃないとお前ら、一生このままだろ」
壱「なっ…なんで臣さんがそんな…」
臣「Aのことも壱馬のこともよく知ってるつもりだから」
壱「っ…！」
臣「二人ともわかりやすいよな〜、お互い名前出したら動揺して」
壱「っそれって…」
臣「ほんと、可愛い妹と弟分だよ」
壱「………」
臣さんの言葉になぜか泣きそうになる。
俺のために、Aさんが傷つくかもしれへんのに。
前に、進んでええの？
コンコン…
個室の扉をノックする音がして
ゆっくり扉が開く。
「もうお兄ちゃん！急に呼び出さない、で…」
大きな瞳と目が合った瞬間、稲妻が走ったような衝撃が全身を貫いた。
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彼岸花(プロフ) - 夜宵-yayoi-さん» コメントありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2023年2月19日 23時) (
レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
夜宵-yayoi-(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 21時) (レス) @page50 id: 213e291fb2 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！続編も見ていただけると嬉しいです！！ (2023年2月19日 21時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 19時) (レス) @page50 id: 1db2654d16 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！幸せになるまでもう少しかかりますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (2023年2月17日 21時) (レス) @page46 id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年1月24日 18時
