八百万的実況者 (ページ8)

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嵐の前のアルパカページ8

足踏む音を轟かせながら
デカパンダは何処かへ去っていった。

「やるじゃねェか
　あんな状況でよく見てやがったな」

カイコクさんが青年に称賛の言葉を投げかける。
青年は僕と二人、仲良く並んで
パンダの鼻水まみれの制服をゴシゴシと洗っている。

「君が何度も「目」「目」
　言ってくれたので、そのおかげで」

「それに、血を流す前に
　できることってけっこうありますから」と
付け加え、カイコクさんに微笑んだ。

そんな青年を何ともいえぬ表情で見つめ
「ヘェ…」と微妙にカイコクさんは返す。
青年を見ることをやめ、木陰で座り込む
少女に目をやった。

「で、
　そっちはそろそろ立てそうかい」
「もう少し…」

少女は酷くげっそりした声色で
そのまま独り言を言った。

「…というか、変
　あいつらなんで平然としてるのよ…」

ん？そのあいつらには私も含まれている…？
一応最初のうちは怖がってましたよ。
脳内で言い訳をしていているその時

ぎゃあああ

悲鳴が聞こえて、青年やカイコクさん
私の三人が一斉に少女を見た。
……さっきのカタツムリだ。

「や…、こっち来ないで
　たたっ切って刺し身にするわよ！！」

カタツムリを刺し身て。凄い脅し方だな。
あ、でも効いてるみたい動き止まった。

「そ、そうよわかればいいのよ
　カタツムリだし、よく見たらかわい…」

デロデロウニョウニョしてますけど
それ本当にかわいい物体に見えますか？
僕だったらとてもじゃないけどー・・・

「やっぱり無理！！！」

ですよねーーー。
にしても、一撃でカタツムリを
卒倒させられるだなんてお嬢さん…
これは全員で少女に拍手。

「…剣道でもやってんのかい？」
「惜しいです、スプラッタ部書記」
『ナイス・クリティカルヒット』
「うるさい、助けなさいよ！！」

「お見事！すばらしい！
　さっそく第１ステージをクリアとは」

パチパチと拍手をしながら現れたそれは

「はじめまして」

頭はアルパカ、その他全ては人間の

「ワタクシ『ナカノヒトゲノム』監視役
　 13番街担当パカと申します」

それはそれは奇妙なー・・・