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「A、船まで走れそうか?」





後ろから小声で話すベポの声が聞こえて
コクリと小さく頷く。




ペンギンとシャチが一瞬隙を作るから
その間に私とベポは
船まで逃げるという算段らしい。


相手の数は7人。
数的有利は向こうにある。


何とか船の辺りまで逃げ込めば
甲板で見張りをしてる仲間が気付いて
加勢しに来てくれるはずだ。






「オラァァァ!!」





相手がこちらに向かってきた。


ペンギンとシャチが
それに対抗するように立ち向かう。




「(今だ、行け!ベポ、A!)」




ペンギンがこちらに目配せして…




「A、行くぞ!」

『うん!』




男たちが2人に気を取られてる隙に

ベポと私は
船までの道を全力で駆け出した。





「おい、女とシロクマが逃げやがった!」
「二手に分かれるぞ!追え!」


「させるかァァァ!」


「ゥグッ!?」





後ろを振り返ると

こちらに向かおうとしていた男に
シャチが背後から飛び蹴りを入れていた。






『シャチ!ペンギン!』

「A!あの二人なら大丈夫だ!とにかく今は走るんだ!」

『……うんっ!』






ベポに言われ
グッと唇を噛み締める。

前を向き直して
また船に向かって走り出した。





暫く走り続けてると海が見えてきた。
船までもう少し…。

追っ手も上手く2人が
引き止めてくれてるらしい。






「Aもう少しだぞ!頑張れ!」

『…はァ、はァ、うん、』





正直、もう体力は限界だった。

いくら特訓をしてるとは言え
まだ始めて数日。

そんなすぐに体力がつくはずもない。


走る足取りは重くなって
ベポとも少しずつ距離が離れてしまう。





『…はァ、もう、ダメ…』






思わず足を止め、少し息を整えようと
膝に手を着いた。



顔だけ上げると「Aー!」と
立ち止まる私に気付いたベポが
こちらに戻って来てるのが見える。


早く、走らないと…。




「ヘヘッ!追いついたぜ!!」


『!!』






聞き覚えの無い
耳触りの悪い声が背後から聞こえて
思わず振り返る。

さっきの追手の一人だった。



ふと見渡すも、ペンギンとシャチの姿はない。

二人は、どこ…?




最悪の事態が頭を過った。





「おい女、俺と一緒に来い!」




頭が真っ白になり何も考えられなくなる私の腕を

追手の男がガシッと掴んだ。





「Aーー!!!」






遠くでベポが私の名前を呼ぶ声が聞こえた。



.

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ベビーカステラ(プロフ) - あんちょろさん» あんちょろ様!コメントありがとうございます!たった今、パスワード解除しました!これからも読んでもらえると嬉しいです! (2023年4月3日 0時) (レス) id: 6cc3977ac9 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 楽しく読ませていただいています♪次のお話はパスワードついてましたがまだ編集中の未公開ということですか? (2023年4月2日 0時) (レス) @page50 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ベビーカステラ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして、コメントありがとうございます!勿論、オチはローさんにする予定です!これからも読んでもらえると嬉しいですっ! (2023年3月24日 9時) (レス) id: 58c35d3d2b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか?できればトラファルガーローオチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援してます。 (2023年3月23日 21時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベビーカステラ | 作成日時:2023年3月16日 13時

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