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私が荷物を詰めてる間、と言っても
直ぐに終わったんだけど
ローくんは部屋の隅にある本棚を
興味ありげに覗き込んでいた。
20冊程だし殆ど古本だけど
それらは全てこの船で行った先の島々で
私が買い集めた物だった。
商船の仕事で稼いだお金は
殆ど本に注ぎ込んでいた。
『これは、置いていかないとね。荷物になっちゃうし』
ローくんの隣に並んで
棚から一冊本を抜き取りパラパラと捲る。
商船での移動中はとても退屈だったから
内容も結末も全て覚えてしまう程
何度も読んだ本ばかり。
でも、どこか
離れ難いなと思ってしまう。
本を閉じて『連れて行けなくてごめんね』
の意味を込めながら表紙を一撫でし
そっと元の位置に戻そうとした時
ローくんの手が私の手に重なった。
思わず隣を見遣ると
「大事なモンなんだろ」と
私の手から本を抜き取った。
キョロキョロ辺りを見渡した後
ベッドにあった毛布を床に敷くと
棚に並んでいた本を全て
それに包み始めたローくん。
私が呆気に取られてる間に
ローくんは本で歪な形になった毛布を
肩に担いでいた。
「他に荷物は？」
『………あ、な、ない。』
「じゃ、行くぞ」
『はい………』
カツカツと足音を鳴らし前を歩くローくん。
その背中はとても男らしくて頼もしくて
優しさで溢れた背中だな、と思った。
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商船から降りると、港にトルコの姿を見つけ
向こうもすぐ此方に気付いて駆け寄って来た。
変装していない状態の私を見て
トルコは一瞬目を見開いたけど
荷物を見て何かを悟ったらしい。
グッと唇を噛んでいた。
「船、降りるんだな。」
『……うん。今までありがとう。トルコ』
「バカ。俺は何もしてねェよ」
ううん。トルコは沢山助けてくれたよ。
貴方が居なければ
私はきっと今日まで生きて来れなかった。
ローくんが生きててくれた事すら
知らないままだったんだよ。
そんなローくんは少し離れた所に立って
静かに此方を見ている。
気を使ってくれたんだろう。
俯いたトルコの瞳が少しだけ揺れていた。
「俺は、お前が幸せで居てくれたらそれでいい。」
『トルコと過ごした時間は、忘れないよ』
「あァ、A。俺もだ！」
最後にギュッと抱き合い
「またね！」と別れを告げて
ローくんの元に向かった。
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ベビーカステラ(プロフ) - あんちょろさん» あんちょろ様！コメントありがとうございます！たった今、パスワード解除しました！これからも読んでもらえると嬉しいです！ (2023年4月3日 0時) (
レス) id: 6cc3977ac9 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 楽しく読ませていただいています♪次のお話はパスワードついてましたがまだ編集中の未公開ということですか？ (2023年4月2日 0時) (レス) @page50 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ベビーカステラ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして、コメントありがとうございます！勿論、オチはローさんにする予定です！これからも読んでもらえると嬉しいですっ！ (2023年3月24日 9時) (レス) id: 58c35d3d2b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか？できればトラファルガーローオチでお願い出来ますか？続き頑張ってください。応援してます。 (2023年3月23日 21時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベビーカステラ | 作成日時：2023年3月16日 13時
