・013 ページ13
.
「大丈夫か」
『……はい。…あ、いや、うん。多分。』
「何だそれ」
『いや、なんか…色々起こりすぎて、頭が追いついてないって言うか…』
薄らと赤くなってる手首を撫でながら言うと
ローくんは溜め息混じりに
「まァ、そうだろうな…」と零し
ベッドの縁に腰掛けた。
あの後、男たちはどうなったかと言うと……
ローくんに手足を切断され
バラバラに繋ぎ合わされていた。
肩から生えた足、腿の付け根から生えた腕
やはりそれでも話し、動き続ける男たち。
もうどこか見慣れてしまっていた私は
マジックでも見せられてるような気分だった。
それから男たちはヘンテコな状態のまま
慌てて部屋から出て行ってしまい
今はローくんと2人。
手足の拘束も彼が解いてくれた。
「俺も正直、驚いてる。」
『ローくんは私の事いつから気付いてたの？』
「最初に見かけたのは、港だ。」
『え、』
「その時はまだお前だと確信が無かったがな。」
『じゃ、じゃあ…本屋で会った時は…』
「本屋で会って、確信できた。」
ローくんはそう言って
ずっと床に向けていた視線を此方に向けた。
「生きてて良かった。A」
真っ直ぐな彼の視線は
本屋で会った時より
柔らかな雰囲気を纏っていて
彼のその唇から紡がれた言葉は
心からの本音なんだと思えた。
『うん。ローくんも、生きててくれて本当に良かった…』
自ずと私の唇からもそう零れる。
それを聞いたローくんはフッと小さく笑い
視線を床へと戻した。
あんな地獄みたいな状況から
運良く逃げ延びて
今日まで生きててきた。
まさかフレバンスの生き残りが
私の他にも居て
それが良く知るローくんだったなんて。
『人生何があるか分からないもんだね…』
肩から掛けられた布団を
キュッと握り締めた。
ずっと独りだった。
唯一、この船で信頼していたトルコにも
フレバンスの出身だと言うことだけは
話すことが出来なかった。
兄のように思ってた彼とも
どこか距離を取っている自分が居た。
もし真実を告げた時
軽蔑されるのが怖かったから。
何より自分が傷付くのが、怖かったから。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ベビーカステラ(プロフ) - あんちょろさん» あんちょろ様！コメントありがとうございます！たった今、パスワード解除しました！これからも読んでもらえると嬉しいです！ (2023年4月3日 0時) (
レス) id: 6cc3977ac9 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 楽しく読ませていただいています♪次のお話はパスワードついてましたがまだ編集中の未公開ということですか？ (2023年4月2日 0時) (レス) @page50 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ベビーカステラ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして、コメントありがとうございます！勿論、オチはローさんにする予定です！これからも読んでもらえると嬉しいですっ！ (2023年3月24日 9時) (レス) id: 58c35d3d2b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか？できればトラファルガーローオチでお願い出来ますか？続き頑張ってください。応援してます。 (2023年3月23日 21時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ベビーカステラ | 作成日時：2023年3月16日 13時
