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俯く私の視界の中に
誰かの靴の爪先が入り込んできて
そっと顔を上げる。




「何してんだ」




ローくんだった。


必死に平静を装い
醜い感情をローくんに悟られないように
"いい子"の仮面を張り付けた。






『もういいの?』

「あ?」

『あの隣に居た綺麗な人との話し、もう終わったの?』






ちょっと皮肉っぽくなってしまった。

でも、これくらい虚勢を張ってないと
ボロが出てしまいそうだった。




チラリとベンチの方に目を向けると
女の人はもう既に居なくなっていて

その視線をそのままローくんへ向ける。


黙ったまま私を見下ろす彼の目には
いつも通りの私が映ってるんだろうか。







「…お前、」

『なに……』

「もしかして、妬いてんのか」

『…ッ!?…はァァ!?や、妬いてないし!何言ってんの!?』







平静を装う事も忘れて答えていた。

最早、それ所では無かった。


必死に隠してたはずの醜い感情を
ローくんには見抜かれていたのだ。


フッと笑って私を見遣るローくんを
口をへの字にして見返す。






「お前はもっと感情を隠す努力をした方がいいかもな」

『…え』

「顔と態度に出過ぎだ」

『』

「……まァ、俺としてはその方が都合がいいが」

『?…なにそれ、どういう意味?』

「さァな」







そう言って片方の口角を持ち上げると
ローくんは鬼哭を肩に担ぎ直した。






「他の服屋も見に行くか?」

『ううん、いいや。さっき結構買ったし』





そう言いながら袋を上げて見せる。

服を結構買ったのは本当だけど

それよりも、またローくんと離れている間に
別の女の人が寄り着いてるのを見たくない
と言うのが正直な気持ちだった。


私自身もこれ以上
ローくんの前で醜態を晒したくはないし。







「じゃあ、適当に歩くか。」

『そうだね。』







取り敢えず、島をもう少し歩く事にした。


途中、雑貨が売ってあるお店を覗いてみたり

美味しそうな飲み物を売っているお店に立ち寄って
座って飲みながら他愛のない話をしたり…。




周りからすれば
何気ない普通の事なんだろうけど


ローくんと一緒に過ごす事で
何倍も楽しく感じた。



誰かとこうして出掛けるのって
こんなにワクワクするものだったかな?






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ベビーカステラ(プロフ) - あんちょろさん» あんちょろ様!コメントありがとうございます!たった今、パスワード解除しました!これからも読んでもらえると嬉しいです! (2023年4月3日 0時) (レス) id: 6cc3977ac9 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 楽しく読ませていただいています♪次のお話はパスワードついてましたがまだ編集中の未公開ということですか? (2023年4月2日 0時) (レス) @page50 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ベビーカステラ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして、コメントありがとうございます!勿論、オチはローさんにする予定です!これからも読んでもらえると嬉しいですっ! (2023年3月24日 9時) (レス) id: 58c35d3d2b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか?できればトラファルガーローオチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援してます。 (2023年3月23日 21時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベビーカステラ | 作成日時:2023年3月16日 13時

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