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翼を。146 ページ30
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「憧れてる、って」
「Aさんはあまりよく思っていないかもしれないんですけど、"幕が下りるまで終われない"なんて、オレが大好きな言葉そのままで、」
彼が好きな言葉は聞いたことがある。誰から聞いたか、なんて覚えてないけれど、その言葉ははっきりと覚えていた。
＿＿The show must Go On.
何があっても、役者は幕が下りるまでその役を演じ切る。途中で現実に戻るなんて所業はやってはいけない。
観客に非日常を。感動と幸せを。
「だっ、だから！ そんなAさんが思うヒスイを舞台で観れたら、凄く感動すると思うんです！！」
真っ直ぐな赤い瞳に星の光が映り込み、キラキラと輝いている。
自分で役を作る。それは皆にとって普通のことで、オレが今までしてこなかっただけなのだろう。
＿＿あぁ、なんで。
「……咲也くんはオレを殺したいの？」
「えぇ！？ こ、殺したいだなんてそ、そんな……っ！？」
なんでこんなに、ここは温かいのだろう。
「あははっ、冗談。ありがとう」
取り敢えず今できることは、稽古場で考えあぐねているであろう人たちを巻き込むことかな。
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作者名：彩崎葉 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時：2019年12月8日 10時
