翼を。142 ページ26
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「あれ、Aさん?」
中庭に設置されたベンチに座って項垂れていたオレの元に、暖かな陽だまりが差し込む。
「どうしたんですか、こんな所で。今は稽古の時間じゃ……?」
明るく、それでいて目に痛くない赤色が視界の端で揺れる。暗くなった空には、彼の髪がよく映えた。
その綺麗な髪を風に煽られながら、不思議そうな顔をした咲也くんはゆっくりとオレの方へ歩みを進める。
「ちょっと、ね……」
疑問をそのまま口にした彼に苦笑を浮かべながら、そっと視線を逸らした。
いつも前を向いて皆を引っ張る彼はとても頼もしいが、今のオレには眩しかった。
「……稽古で何かあったんですか?」
「ははっ、リーダーは鋭いなぁ」
何、リーダーはそういう能力をもってないといけないの、と自虐するように笑い、髪をかきあげた手で顔を覆い隠す。
天満くんも咲也くんも、紬も。皆を纏めているだけあって、周りを見る力はある。流石というべきだろうか。
けれど、今だけは見逃して欲しかった。
「__あのっ! オレにはわからないことかもしれません。でも、話せば楽になることもあると思うんです」
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とまと。 - 更新待ってます! (2021年3月2日 19時) (レス) id: 5e107264c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩崎葉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時:2019年12月8日 10時