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鍵は。139 ページ23
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「……あっ、じゃあ俺が他の役をやるよ。丞と一緒にDVDを見たから、ある程度は理解出来てるから」
そう言いながら紬さんが歩みでると、丞さんはAくんを見て深呼吸をする。
『姫、少しいいですか』
＿＿丞さんがそう口にした時、空気が変わった。
『えぇ、構わないわ。どうしたのかしら？』
二人共に誰かが憑依し、場面が、舞台が作りあがっていく。音響も小道具もない、観客も存在しない。ただの稽古場が、彼らが居るべき場所に、板の上へと変わっていく。
『長期遠征の命令が下りました』
『……そう。今回はいつまで？』
『わかりません。しかし、これだけは誓います』
リオンが跪き、姫の手をとる。どこか遠くを眺めていた姫の視線とリオンの視線が重なり合い、時間が止まる。
『必ず、貴女の元に生きて帰ると』
彼は静かに手の甲に唇を落とし、力強い瞳で彼女のことを見つめ返した。
『リオン、必ず生きて帰りなさい。そして、私と貴方の願いを叶えましょう』
姫は希望を灯した目に彼を写し、そっとリオンの手を両手で包む。
『リオン様、陛下がお呼びです』
『あぁ、直ぐに行く。……では』
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作者名：彩崎葉 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時：2019年12月8日 10時
