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翼を。138 ページ22
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「で、でも、Aくんはまだ学生でしょ……？ どこからそんなお金が……」
「心配しなくても大丈夫ですよ。昔から物欲はなかったので、それなりにあります」
両親の財産は全て、義父がいつの間にかオレの口座に振り込んでいた。聞けば、何れはオレに渡すつもりだったらしい。
中学、高校とお小遣いを貰っていたけれど、演劇以外に興味はなかったから、演劇か幸のためにしかお金は使っていなかった。
学費は全て瑠璃川家が払ってくれていて、バイト代もそのままオレの元に落ちてくる。
「皆はオレのために動いてくれているんだから、これくらいはさせてください」
そう言ってにこやかに笑えば、彼女は脱力したかのように肩を下げた。
Aくんもお金持ちだったんだ……、という呟きは聞こえなかったことにする。彼らと一緒にされたら困る。
「A、ヒスイは今すぐにできるか」
「んーまぁ、なんとなくは」
「それで十分だ。監督、少しオレとAの演技を見ていてくれ」
途中の役はどうするのかと丞に聞けば、そこは考えていなかったようで唸り出した。
演劇に夢中になると周りが見えなくなるのは変わってないな。
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とまと。 - 更新待ってます！ (2021年3月2日 19時) (
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作者名：彩崎葉 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時：2019年12月8日 10時
