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翼は。132 ページ16
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「(今度はオレが兄貴を支える)」
存在理由が分からなくなったのなら、オレが意味を与えてあげる。足が竦んで動かなくなったのなら、オレがその手を引いて歩く。感情が溢れそうになったのなら、オレが全部受け止める。
その目で、その耳で、自分を認めてくれている存在を確かめて、ゆっくりと進んでいけばいい。
兄貴になら、それができるはずだ。
「テンプレヤンキー、ちょっと手伝って」
「……？ あぁ」
今目の前でドーナツを頬張っているこの男も不器用だが、椋を弟のように可愛がっている。
弟を想う兄の気持ちも、兄を想う弟の気持ちも、当人以外にはわからない。
オレがどれだけ兄貴のために動いても、兄さんにとってはそれが邪魔に思えるかもしれないし、義弟を頼るわけにはいかないと、更に無理をするかもしれない。
「(でも、ひとりにはできない)」
あんな惨状を見てしまったら、誰でも離れることを躊躇するだろう。過保護だと過干渉だと言われようとも、兄さんを失いたくはないから。
だから、少しだけそばに居ることを許して欲しい。
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作者名：彩崎葉 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時：2019年12月8日 10時
