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翼を。129 ページ13
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Aと似てると思わない？、と東さんは悲しそうに眉根を下げる。
大好きな家族が死んで、自分一人だけが生き残った心の痛み、絶望感。オレと同じようなことを体験した人が、身近にいる。
「家族がもう帰ってこないことを信じられなくて、ひとりにはなりたくなかった」
2人の暖かみが残った家には、もうずっと帰れていない。両親のことを思い出して、現実を受け止められなくなりそうだから。
「目が覚めたら誰かがいることに安心した」
本当の家族ではなくても、あの暖かさを求めて縋った。本当の意味でひとりになることが、嫌だった。
「……ボクには丞が、冬組が、皆がいる。起きたら絶対に誰かがこの家にはいて、ひとりにはさせてくれない」
人を信用することが怖くなった。オレの両親が消えた時のように、心に穴を空けたくないから。
それでも。そんなオレでも、オレのために動いてくれる人がいる。
「A、少しずつでいいから。ボクたちのこと、もっと頼ってほしいな」
MANKAIカンパニーの皆は家族だから。
相変わらず綺麗な顔で、東さんはオレに優しい笑顔を向けてくれる。それなのに、オレは視界が歪んで、彼の顔が上手く見れなかった。
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作者名：彩崎葉 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時：2019年12月8日 10時
