かみのけ ページ6
side yuzuriha
「あ」
懐かしい
少し空いた時間にふと写真フォルダを遡っていると
もう二年くらい前、僕サバの撮影をしていたときの写真を見つけた
「こーせい、見て」
「なに」
「僕サバのときの」
「うわ、めっちゃ懐かしい」
「だよね、こーせい髪短い」
「Aも髪ショートだし、金髪だし」
私の髪をさらさらと撫でながら光成がのんびりした口調で言う
黒髪ロングが大好きで常に肩甲骨下までの長さを保っていた私が
唯一髪を切って染めたのがこの撮影のときで。
当時はメンバーも先輩たちも「Aがグレた！？もしや失恋！？」
って謎に大騒ぎだったっけ…
「なんかいろんな人にAグレた、？って聞かれたんだよ俺」
「その節はなんかごめんなさい笑失恋した？とも言われてたけど」
「失恋はしてないでしょ？俺のこと好きだったもんね」
「あ、うん」
雑に返すな、って笑ってコツンと頭を小突かれながら
また写真フォルダをスクロールしていく
「Aさ、このときの俺の髪型好きじゃなかったでしょ」
「え、あーー...うん。なんでわかったの、」
「刈り上げたとこよく触りにきてたけど、うーん…って顔してたから笑」
「だってもちろん短髪の光成もカッコいいけどさ、
私はサラサラの髪に手櫛通すのが好きだから」
「そっか、じゃあ役以外じゃもうやらないね」
「え、やった」
「じゃあAもロングのまんまでいてよ」
「え？」
「Aの長い髪セットするのも好きだし、髪乾かすのも好きだから」
「自分から切るつもり絶対無かったけど光成に言われたら余計切れない！」
やったあ、って喜ぶ光成のためにもまだまだ伸ばすしお手入れ頑張ると心に決めた日。
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作者名：璃子 | 作成日時：2023年9月13日 17時
