草川くんのカノジョ（仮）

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「……学祭、終わったね」

拓「………ああ」




拓弥くんの返事が短いのはいつもの事だ。私はたくさん話すタイプでもないし、拓弥くんもそうだ。私は拓弥くんと二人でいる時の空気感が好きだ。沈黙も、笑い合ってる時も、全部。


学祭が終わったら終わり、そう思っていた。





けど、終わらせたくない。そう思ってしまう私は我儘なんだろうか。





「…花、大事にするね」

拓「ああ……枯らすなよ」

「……うん」






いつも別れる公園が見えてくる。言いたい言葉はたくさんあるのに、声になって出てこない。そうしている間にも公園はどんどん近付いて、ついに着いてしまった。





「……じゃあ、気を付けてね」

拓「………Aも」

「…ばいばい、」

拓「………」




拓弥くんに背を向けて、ゆっくり歩く。いつもの別れ際なのに、明日も会えるのに、物凄く寂しく感じた。ふと、ブレスレットがキラキラと光った。




…やっぱり、まだ、終わりたくないんだ。私、結構我儘だったのかな。





「拓弥く……わっ、」





振り返って拓弥くんの名前を呼び掛けたのと、腕を引かれてそのまま拓弥くんに抱き締められたのは同時だった。心臓がバクバクと音を立てて、拓弥くんに伝わってしまいそう。






「……あ、の…」

拓「……あ……ごめん」

「…………」




そっと体を離す拓弥くん。鳴り止まない心臓の音に一気に熱くなる体。私の手を取った拓弥くんが、あのさ、と小さい声で言った。









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拓「…………好きなんだけど、Aの事」





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