【文スト】最果のアルカディア【中原中也】

序章 ページ1

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＿＿＿喪失がキミを強くした。


失いたくないモノを失う度、奪われたくないモノを奪われる度、キミは強く、逞しくなっていった。
其れに合わせるようにして、キミの“奇跡”は光り輝き、力を強くする。

……あの日の敗北と喪失から、どれ程の月日が過ぎたのだろうか？

今のキミは、最早負ける事も失う事も無いだろう。

継ぎ接ぎの躯と壊れた脳。 其れと多くの犠牲。

キミの王国＿＿＿“理想郷(アルカディア)”を侵す事など、この世の誰にも出来はしない。

けれど、今のキミには何が残されている？

キミは失って失って失って……今じゃすっかり空っぽじゃないか。

嗚呼、其れなのに。

キミはまだ、戦うと云うんだね。

他の誰かが喪失の苦しみを味わう事が無いように、空っぽのキミが戦うんだね。

……おめでとう。

其の強さと優しさこそ、キミが唯一手に入れた、真の宝物だ。



＿＿＿お集まりの紳士諸賢、淑女の皆様。

これより語りますは一人の男の物語。

愛を欠き、絶望を生きた少年の後日談。

題を『終わらない後日談』。

この物語がいかなる終演を迎えるか、どうぞ皆様、最後まで目をお離しなきように＿＿＿！

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