偽りの家族 (ページ15)

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A

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「あ、ボール…」

寝転がっていたら潤がポツリと呟いた。

ボール取りに行けば、病室にいる翔にぃと話せるかもしれない。

朝元気無さそうに見えたし。

「俺、取ってくるっ！」

怒られない程度に走り病室に到着。

病室には翔にぃしかいなくて。

チラリと俺を見ると視線を外し違う所を見る翔にぃ。

「……翔にぃ」

翔にぃのベッドに付けられているテーブルにはゼリーが乗っていて。

メモらしきものもある。

「それ、食っていいよ」

そんなに食べたそうに見えたんだろう。

「それ、翔にぃのだもん」

「食わねぇもん」

ほんのり赤く染まった顔でそう答える翔にぃ。

「食べないと…」

「うるさい。もう、どっか行けって」

ゼリーを投げつけれ地味に痛い…。

翔にぃは布団を頭から被るとそっぽを向いてしまった。