●（orange） ページ8
今日は、朝の大阪での仕事の後、コンサートのリハの為に急いで東京に戻った。
体力回復の為の豚カツが食べたい♪
夜は寒くなりそうだからコートを着て出かける事にした
大将と楽しくお話ししたり、女将さんといちゃこらしたりしながら、食事も済んで、ご機嫌で店を出るとやっぱりかなり寒くて
『さぶッ』
コートの襟を寄せて肩を縮めて歩き初めて
『あ……スタンド、まだ出してへん…』
ふと思い出す
『………』
足は自然とあの洋館の方へ向かい
確かこっちやった……
今日は雲っていて月は見えていない
公園を通り過ぎて…
あそこに看板があったはず…
もう少し行って…
気持ち早足になる
『え？』
路地…
『なんでや…』
猫が一匹通れるぐらいの隙間しかなかった
『ここやんな』
路地は惣菜屋さんと喫茶店の間だった事は覚えていたから間違えるはずない
でも今、その両店の間は隙間でしかなく、看板を立てかける事すら出来そうにない
しばらく行ったり来たりしていると肉屋のおっちゃんに怪訝そうな顔で見られてしまった
あかんあかん、不審者と思われる
スーンとした顔を作ってその場を離れた…
公園まで戻った時、洋館の窓から草原が見えてた事を思いだして、もしかしたらどこかにあるかもと中に入ってみる
でもそこは芝生の広場で
周りを見回してもそれらしい建物は見えなかった
あの夜僕は確かにあの洋館に行き、スタンドを買った…はず…
『あのスタンド！』
＊＊＊＊＊＊
玄関で靴を脱ぎ捨てる
どこや？どこに置いたっけ？
『あった！』
ソファーのよこに倒れてた紙袋を開けて、丁寧に包まれた包装をビリビリと破った
やっぱりこのスタンド
『あるやんな…』
どういう事や？
スタンドは…ある…
でも
洋館は…ない…
変な気持ちのまま、スタンドを寝室ベッド脇の出窓に置いた
コートのポケットから携帯を出したら、信ちゃんからメールが来ていた
長めの文章を、考え考え時間をかけて打って送信
ふと今に戻って
消えたあの路地…
見つからない洋館…
ここにあるスタンド…
いくら考えても答えは出ないし、今日1日の疲れがドッと押し寄せてきて、明日も朝から仕事だからもうお風呂に入って寝なければ
その夜すっかり寝入ってしまった僕は
窓から入った月の光が、携帯を乗せたスタンドの影を窓際に作った時
携帯に女の子が映し出されていた事に気づけづにいた…
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key(プロフ) - ふわりさん、はじめまして。感想ありがとうございました。なにぶん初心者なもので、勝手が分からずお礼が遅くなりすみませんでした。文章を作る難しさを感じ、自信を無くしていたので、素敵なお話しと言っていただきうれしかったです。ありがとうございました。 (2017年5月4日 18時) (
レス) id: 57cf30034c (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - はじめまして。こういうファンタジーな世界ってさじ加減が難しいなぁ、と思うのですが、このお話は不思議さの具合がちょうどいい！リアルからかけ離れすぎてると入り込めなくてしんどいけどとても気持ちよく入り込める世界観でした。素敵なお話でした。 (2017年4月26日 21時) (レス) id: aa255c5fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まるいも | 作成日時：2016年10月28日 0時
