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○(あなた) ページ7

前を走る大型のトラックの風が、道路脇の背の高い黄色い花を大袈裟にゆらして、稲刈りが終わった田んぼに色を散らす。
あの花はセイタカアワダチソウ。
外来種だとお婆ちゃんが教えてくれた。

葉が落ちて、実だけになった柿の木も

渇いたススキの揺れる河原も

水が抜かれた池の底も

泣きたくなるくらいに田舎で

都会への憧れを増幅させるには充分な要素だった

若い頃はこんな私でも都会での独り暮しに憧れていたけれど

臆病な自分にはそんな勇気なんてなかった

この頃の私は
『子育てするには絶対田舎!』
と都会から田舎に越した子育て世代の特集をTVで見ながら、予定もないくせにうなずいたりしている

目の前の仕事を丁寧にする事

それが大人になった私のプライド



*****


会社からの帰りにスーパーに寄って、赤ワインとちょっといいチーズとビーフシチューの材料を買って帰る

土曜日のささやかなご褒美

好きな音楽を掛けながら、料理をして
シチューを煮込んでいる間にお風呂に入る

タオルで髪をワシャワシャと豪快に拭きながらカーテンを開けると、三日月が、山の上に乗っかっているのが見えた

録りためているドラマを見ながら、ゆっくりワインと料理を楽しんで
気が付くとソファで寝ていた
時計を見ると、すでに12時を回っている

少し飲み過ぎてしまったみたいで、何もしていないのに笑いが込み上げる

こんな姿とても人には見せられないな…

ふわふわと気を付けながら自分の部屋へと上がった

ふと、机の上のスタンドに目がいって、右手に持っていた携帯を置いた

『やっぱりかわいい♪』
天使と悪魔の丸いほっぺをツンツン♪とつつく

満足して、ベットに入ろうとした時、窓から光が入ってきてスタンドの影が長く伸びた
その瞬間、携帯の画面が光る

着信かな?

手をのばして

『えっ?!なに?!』

思わずその手を引っ込めた

画面いっぱいに顔が映っている

『!』

ほとんど泣きそうになりながら、酔いが一気に覚めていくのが分かった

怖いけど、目が離せないでいると、指先がペタンとついて上に跳ねた

ん?スクロール?

どういう事?

目が小刻みに画面の中を動く

私を見てるようにも見えるけど……

見えてないのかな……?

口を尖らせて真剣な顔

指先がペタンとくっついては上下左右と動く

これはメールを打っている?

どういう事?

知らないうちに変なサイトへ飛んでしまっていたのだろうか

まだ少し酔いが残った頭がうまく働いてくれなかった

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key(プロフ) - ふわりさん、はじめまして。感想ありがとうございました。なにぶん初心者なもので、勝手が分からずお礼が遅くなりすみませんでした。文章を作る難しさを感じ、自信を無くしていたので、素敵なお話しと言っていただきうれしかったです。ありがとうございました。 (2017年5月4日 18時) (レス) id: 57cf30034c (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - はじめまして。こういうファンタジーな世界ってさじ加減が難しいなぁ、と思うのですが、このお話は不思議さの具合がちょうどいい!リアルからかけ離れすぎてると入り込めなくてしんどいけどとても気持ちよく入り込める世界観でした。素敵なお話でした。 (2017年4月26日 21時) (レス) id: aa255c5fb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まるいも | 作成日時:2016年10月28日 0時

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