bitter sweet ２【中村倫也】

31.覚えてませんか？ ページ2

*







遠藤部長との別れ、新しく部長になった中村先輩


別れがあればまた新しい出会いがある。



今日は入社式を終えた新入社員たちが配属となった部署にやってくる。


ビルの中で初々しいスーツ姿をよく目にする。


もうこんな季節か……

私も配属されたときは緊張したなぁ〜なんて当時を思い出していた。

営業部には一体どんな子たちが入ってくるのだろう。



今年の新卒の子たちは中々期待できるよ、

なんて田中さんがそう言うぐらいなんだから期待できるのだろう。



元気のいい子だといいな〜なんて思い浮かべながら私は忙しなく書類を抱え社内を足早に歩いていた。




「すみません、通ります！」



会議何時からって言ってたっけ？

早歩きから駆け足になるとヒールの足がバランスを崩しスローモーションに書類が舞い上がる。



(最悪……)



慌てて書類を掻き集めていると、私と同じように書類を拾い上げる男性が……




「大変そうですね。大丈夫ですか？」



「は、はい、ありがとうございます。大丈夫で…」




真新しいスーツ


きちんとセットされた黒髪



目鼻立ちがくっきりした顔立ち



そっと顔を上げると、まるでおとぎ話に出てきそうな、まるで王子様

綺麗な瞳と目があった。



「………」




世に言うイケメン、とはこの人のことを言うんだろう……


この会社にこんなイケメン男子いたっけ？
こんなイケメンがいたら涼子が放って置くわけないだろうし、それに中々若い。

私と同世代か少し下か……



それにしても顔綺麗すぎ彫刻か…？


ってあれ、私、どこかで……




「………A、さん？」



「え……？」



頭の中でグルグル考えていると
不意に書類を持つ手をぎゅっと握られる。




「僕のこと、覚えてませんか？」





………は、はい？

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