断頭台で待ち合わせ (ページ46)

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ほつれたリボン　４－⑦ ページ46

貴族なだけあって、大多数は正しく意味を受け取った。
　もちろん突然の決闘の申し込みに訝しむ者もいたが、その思考は寮に辿り着くまでの間でどうやってシャルルを再起不能にするかという実に楽しげな想像で塗り潰されてしまい、誰もが緑の刺繍の絨毯の上で中央の少年に杖先を向けていた。スリザリンは人数など気にしない。数も集められない方が悪いのだと歴史が証明しているからだ。

　従者もどきであるビンセントとグレゴリーだけは親の命令でシャルルに手を出すことが出来ない。シャルルを取り囲む大勢の奥、シャルルが杖の一振りで壁際に寄せた上質な家具の後ろで、鈍い頭を回しひたすらに困っていた。
　手袋を投げつけた現場に居合わせなかった者も輪に混じっており、二人の中に残った子供らしい心は今すぐドラコを呼びに行かなければと思いつつあったが、如何せん彼らの行動指針が和風にいうと“長い物には巻かれろ”なので、彼らは右往左往するばかりなのだった。

　中指に通したプラチナの指輪が鈍く光る。まさに噛みつかんとする蛇とおどろおどろしい髑髏を模した、子供がはめるにしては酷く無骨で古臭いデザインだ。シャルルは無防備を装って優雅に一礼し、顔を上げた刹那にルーモス・マキシマを唱える。
　ドラコにはああ言ったものの、自身は最低限の儀さえ守る気がなかった。しかしこの場にいるものは皆同じ考えだった。彼らはそれより早くエクスペリアームスを放っていた。そしてシャルルには唯一使える無言呪文があった。プロテゴである。
　盲目の最前列が吹き飛んだ。シャルルを中心とした輪が一気に広がり、代わりに後方で機を窺っている者が口々に攻撃を仕掛ける。ある者は物を浮かべて弾丸とし、ある者は失神呪文を、また者はくらげ足の呪いを放った。シャルルはそれをひたすらに無言呪文で防ぎ続ける。常に多を相手取り、杖先を顔から下に向けて振り翳す。

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