ほつれたリボン ４−�� ページ43
シャルルが課題や課題や課題といった当たり障りのない話題を挙げ、相槌の隙間に簡単な質問を投げると、ネビルは警戒と期待の入り混じった目を彷徨かせて答える。その繰り返しだったが、意外にも間は保った。
純血、それも聖二十八一族ともなるとアンリ相手に避けるべき話題をきちんと把握しているし、シャルルは立場的な事情でほぼ全ての純血の事情を網羅しているのでこちらも地雷は回避出来たのが大きい。また、シャルルが「実は俺も箒は苦手なんだ」と打ち明けたのもネビルの緊張を解くきっかけになった。初めは単調だったボールは段々と回転をつけて交わされるようになる。
会話は初対面にしてはそれなりに弾み、時間も進み、シャルルがマダムに頼み込んで五分だけ延長を勝ち取ることになったが、その五分間はまるで一瞬だった。ネビルの手首が治るまでもうしばらくかかるという。魔法界にしては冗長な処置だ。ポンフリーがネビルに大事を取らせようとしているのだとこの場でわかっていないのは当人だけである。菓子のお返しは不要だと伝え、シャルルはカーテンに手をかけた。
「何かあったら教えてね。ドラコのことは頑張って貰うしかないけれど、他のスリザリン生なら任せて？ どうとでも出来るからさ」
「どうするのか不安だなぁ」
曖昧に眉を下げる少年に手を振り、シャルルは夕闇の差す保健室を後にした。マダムの態度が多少軟化しているのが少し可笑しい。やはり対話は人間関係を円滑にする効果がある。この調子でウィーズリーと和解出来たらいいのだが、そこはまだ期待しないほうが賢明かもしれない。何事も焦りは禁物だ。シャルルにはドラコがいるので、焦りというほどの感情は浮かんでこないけれども。
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作者名：砂な | 作成日時：2023年3月25日 23時
