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ほつれたリボン ２−�� ページ31
午後の授業が一コマ空いていたので、シャルルはいそいそと地下の寮へ向かった。
秘密の抜け道探し──と言いたいところだが、それはある程度この城に慣れてからでなければ命に関わるので泣く泣く諦めたし、怒濤の課題のお蔭で遊んでいる余裕はない。今夜も週に一度ある天体観測の授業が入っていて寝不足が予想される。時間割の真ん中には大きく穴が空いているので、ひと眠りするにはもってこいだった。
秋口の風に乗って冷たい雨粒が城の隙間を吹き抜ける。シャルルは捲れ上がるローブの端を押さえ、服の内側に保温魔法を掛けた。ホグワーツ城ら魔の力で護ることを前提としているからか、物理的な面で不便なところが多い。日によっては窓のない地下の方が温いくらいで、シャルルは割とスリザリン寮を気に入っていた。通気性という重大な欠陥については見ないふりがBetterである。
昼食が胃を活発化させ眠気を誘い、普段は引っかからないような虚像の扉の前で頭をぶつけること数回、ようやっと一階の階段の踊り場に出た。そして自分の不運を恨んだ。
「おぅおぅおうおう！！ これはこれは嫌われっ子のアンリ様であらせられる！！！ 今日はお日柄も良くうぅぅぅぅぅ！！！！」
暗い目を爛々とさせた小男が平伏すような仕草でシャルルの周りをぐるぐる回る。歳は三十代から四十代といったところだろうか。髭が生えているので老けて見えているかもしれない。
懐に隠し持った杖を盗られないよう固く握りながら「外見たことある？ 大雨だよ」と答える。
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作者名：砂な | 作成日時：2023年3月25日 23時
