セカンドプロローグ １−�� ページ6
コンパートメントでの邂逅における問題は、原作ポッターがホグワーツ特急内で原作ウィーズリーに聞き齧った知識で人を判断しようとしたことと、単純にドラコの態度が凄まじく嫌味だったことである。
要するに、場所と時を変えてドラコに軽く釘をさせばあるいは、とも考えられないこともない。マダム・マルキンの店での初邂逅は悪印象を植えつけただろうが、他人への好感度というものは低い人の方が断然上がりやすいのだ。
さて、マルフォイの名を誰より誇るドラコおぼっちゃんは友人の前とはいえ品を欠く真似などしないだろうから、ジュース瓶を空けるまでは大人しくしているはずだ。それまでに頑固な彼の気を逸らす方法を考えなければならない。
シャルルはドラコに逆らえない事情を持つので、あわよくばビンセントとグレゴリーが何か面倒事を引き起こしてくれたら助かるのだが、と二人の方を見たら、彼らの足元にはビーンズひとつない空箱だけが転がっていた。
さっとドラコに視線を移したら、彼も彼で葛藤の滲む目で半分程残ったかぼちゃジュースの瓶を見つめている──かと思えば、瓶を一気に傾けて飲み干した。
「あー……ドラコ。眠いから膝を貸してくれないかな」
「嫌だね。僕はハリー・ポッターに声をかけてくるからそこで一人寂しく寝ていろ」
じゃあなと遠ざかろうとする細腕をシャルルは掴んだ。もちろん間髪入れず振り払われる。
「なんだ」
「俺も行く」
ドラコはたっぷりの自尊心でもって満更でもない表情を浮かべ、もったいぶって肯首した。
「寂しがり屋め」だとか「シャルなんて自分の後ろばかりついてくる弱い奴に過ぎない」とか、そういうことを思ったのだろう。間違いではないし、シャルルとしては好都合だ。
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作者名：砂な | 作成日時：2023年3月25日 23時
