ぶりっ子？悪女？……だから？

カースト ページ9

放課後、廊下で。




わぁっと歓声が広がる。まるでそれは、アイドルのライブのよう……。いや、その中央にいる人物こそ、アイドルと言っても過言ではないのだが。

廊下を歩いているだけで視線を集めているのは、この学園の生徒会長、涼宮真木だ。
左右に二年生の男女二人を引き連れており、万人受けする笑みを浮かべ、颯爽とした足取りで生徒会室へと向かう。その堂々としたさまは彼女以外に真似できる人などいない、と断言できる程。

悲鳴のような歓声をあげたのはその周りにいる人集り。所謂、ファンというやつだろうか。廊下のど真ん中を歩んでいるその三人は圧倒的に顔が整っている。少し多いような気もするがこれだけのファンがつくことも納得できない話ではない。



涼宮真木は、まだ一年生である。中学一年生でありながら生徒会長選挙を勝ち上がった彼女は、それを鼻にかけたような素振りも見せず、着々と仕事をこなし、教師からの評判もいい。涼宮の演説は人を引き付ける何かがある、そう錯覚させる程の才能を持っているのだ。

今年の生徒会選挙立候補者は七名程度であったが、"ある一人"を除き、落差で他の立候補者を落としていった。"あの"理事長もが生徒会生徒会長として相応しいと認めた実力を持っている。

艶やかな黒髪を靡かせ、女子にしては高い身長。真っ黒の瞳。制服のスカートから覗く細い足。健康的な部類に入る白い肌。
その美貌を持つ彼女がこの学園を牛耳っているとは想像しにいくいものだ。
代々、この学園の生徒会長というものは、教師よりも権限を持っている。それこそ、理事長よりも。

生徒会役員も生徒会長直々に決められることになっており、彼女が選んだメンバーで生徒会が結成される。彼女の言動一つでこの学園の方針を変えることだって出来るのだ。
なので、生徒会役員に媚びを売る生徒も少なくない。そう、この学園では見えないカースト制度なるものが暗黙の了解として存在しているのだ。

勿論トップは生徒会長。その次に生徒会役員、理事長、教師、優秀な生徒、普通の生徒……と、そのようになっている。教師達は必ず生徒会の要望に応えなくてはいけないのだ。それがこの学園の方針である。こう見えて、結構闇が深いのだ。
そして、そのトップに立つ女が今引き連れている二年生二人。それは、今期生徒会の役員である。

生徒会副会長と書記だ。

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