悪い噂 Ⅱ (ページ2)

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『うん、なんかあった？』

「Aちゃんに言うのはちげぇって分かってんだけど、俺ずっと舞花のこと好きだったんだよね」

『っ、』

分かってた。分かってたけど、改めて樹くんの口から聞くとジワジワと現実味を帯びて苦しくなる。

ずっと、好きだった。
そんなこと言われたら私にくれてた ‘‘ 好き ’’ が偽物だったって嫌でも分かってしまう。
もう少し夢を見ていたかったな、なんて。

『うん、気づいてたよ』

「んは、適わないなあ」

『舞花となんかあったの？』

「あいつ彼氏いるんだけどさ、さっき家に送ってる時に彼氏さんが迎えに来たんだよね。
なんか、舞花が彼氏といるところ初めて目の前で見て、俺じゃ幸せにできねぇんだなって思ったら苦しくってさ。」

へにゃっと笑ってる樹くんはとっても苦しそうで、思わずぎゅっと抱きしめた。

『舞花は、本当は...』

・

・

本当は、樹くんのこと好きなんだよ

そう言ってしまえばきっと2人は上手くいく
そんなの分かっていることなのに、それを私が言っていいのか、って思うと言えない

いや、ちがう

言ってしまって、2人が上手くいくところを私が見たくないんだ

私はこんなに弱いんだ