錯乱する感情 ページ32
赤い液体が飛び散り、私を濡らし染めていく。
彼の息の音が聞こえなくなって、少しして、二つの足音がこちらへ来るのが聞こえた。
【オ疲レサマデシタ】
振り向くと、二人の向こうに見える表示が変化していることに気づく。
1「これ、終わったんか?」
4「…俺ら、帰れるのか?」
【ゲームハコレデオ終イデス】
【扉ガ開カレマス 本当にオ疲レ様デシタ】
【貴方達ノ新シイ明日ノStartヲ祝福シマス】
【サヨナラ】
【サヨナラ】
数秒単位で変わる表示。
最後に写ったのはオオカミに食い殺される天使だった。
その表示を呆然と見つめていると、鍵の開く音がした。
「なんの…ためだったの?」
全てが本当に終わったんだという安堵感とともに、目的もなにもわからない最後に憤りを感じ
る。
いや、理由を告げられたところでこの理不尽なゲームに対する憤りは消えないだろう。
「何のためだったの!!!!!!!!!」
感情とともに涙があふれる。
「何のためなの!!!!」
叫んでも、叫んでも答えなんて返ってこない。
それでも何度も何度も叫ぶしかできない。
1「ほんまにあいてる…」
4「これ、この先になにかあるとかないよな」
1「わからへん…でも、ここにいてもしゃぁないやろ」
4「…だな…A、出るぞ」
ぐいっと引かれる腕。
でも、私はそこから動けなくて。
「やだ」
4「A!」
「やだぁ!」
だって、ここを出てしまったら二度と、戻ってこれない。
大好きな人たちの遺体をこんなとこに置いていくの?
1「A!!」
「…私、ここにいる」
4「なんで」
「みんなをここに置いていきたくない」
1「お前…」
4「何馬鹿なこと言ってんの」
1「お前がさっき言ったんやぞ!生きなきゃいけないんやろ!!」
「そうだよ!!!生きなきゃいけないの!!でも…!このまま生きることはできないよ!!」
4「じゃぁ、どうすんの?お前。」
拓弥の視線が、険しくなった。
「私は…」
1「ごたごた言ってる場合ちゃうやろ!!!!」
しびれを切らしたように私を抱える晃一。
「ちょっ」
1「拓弥も行くで!!」
そう叫ぶと、先に走り出す晃一。
4「…」
無言で着いてくる拓弥。
そして…開かれた扉は確かに外につながっていて、私たちは何日かぶりの日の光を浴びた。
58人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Orin(プロフ) - 鎖骨ちゃんさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けてとても嬉しいです。コメント、励みになります。のんびりではありますが更新は続けていきますのでぜひまた読みに来てください (2019年4月11日 2時) (レス) id: c85c65d7e8 (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨ちゃん(プロフ) - とても面白いです。更新楽しみにしております!! (2019年3月1日 17時) (レス) id: b22569305a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Orin | 作成日時:2019年2月17日 2時