悪魔でもいい ページ17
Side Yuki
首輪が締まる、ゆるむが繰り返される。
きっと、神…いや、主催者が俺に味方したんだ。
これ幸いと俺はAにささやく。
殺すことが、姉のためだと。
力なくAの腕の中で静かに涙を流し、地獄のようなその苦しみを耐える美智留。
わかるでしょう…?Aが殺さなければ美智留はこのまま苦しみ続けるだけ。
ほら、もう殺してあげようよ、この苦しみから解放してあげよう?
美智留自身も言っていた。
もう今までの生活の中には戻りたくないと。ここで死にたいと。
Aに殺されたいんだって。
ぎゅっと抱きすくめたその体はカタカタと震えてる。
あぁ、かわいい。
おびえるAでさえ愛しくて。
5「A」
8「やだ、お姉ちゃんと帰る…」
大粒の涙がその頬を伝う。
そんな中、美智留がパクパクと口を動かし訴える。
美智留「お…がい…こ…して」
かすれたその声は懇願している。
”お願い、殺して”と。
8「…っ」
その意図をAも汲み取れたらしい。
8「お姉…」
美智留「おね…がっ…カッハ…ぅ…」
8「…っ」
5「A」
その手にナイフを握らせる。
美智留「た…すけ…て」
力ないその声が、とどめだった。
ナイフを持つ手に、力がこもった。
そう、そうだよ…!A…!
生きるんだ。
8「…っう…うあああああああ!!!!」
その叫びとともにナイフは美智留に突き立てられた。
ちいさなうめき声。
美智留「いき…て…A」
Aはそのつきたてたナイフを抜き去る。
飛び散る赤。
ゆっくりと閉じられる目。
そして、その顔に笑顔をたたえ、美智留はそのまま息絶えた。
降りしきる赤に濡れたA。
その目は何を映しているかわからないほどに暗い。
あぁ、でも、その姿は美しかった。
ねぇ、悪魔だってののしられてもいい。
それでもいいと思えるほど、ただただAに生きてほしい。
願わくば俺と一緒に。
58人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Orin(プロフ) - 鎖骨ちゃんさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けてとても嬉しいです。コメント、励みになります。のんびりではありますが更新は続けていきますのでぜひまた読みに来てください (2019年4月11日 2時) (レス) id: c85c65d7e8 (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨ちゃん(プロフ) - とても面白いです。更新楽しみにしております!! (2019年3月1日 17時) (レス) id: b22569305a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Orin | 作成日時:2019年2月17日 2時