ほの暗い夢 ページ14
開かれた先には静かに目を瞑っている美智瑠がいた。
扉の開いた音に気づくと、ゆっくりとその目は開かれ、こちらに視線を向けた。
どうやら動じていないようだ。
8「おねぇ、ちゃ……」
声がかすれる。
首を絞められているかのように息がしずらい。
祐基は扉を開けた直後に私の後ろへとまわった。
美智瑠「A。」
そんな私に美智瑠は微笑む。
なんで。
どうして。
ぐるぐるとその優しい微笑みに疑問が浮かぶ。
美智瑠「A、おいで」
夢に見てた。
いつか姉とパジャマパーティーをする夢。
いつかまた会って、抱きしめてもらうんだって思ってたの。
そして同じお布団に入って明日を語る。
たとえばショッピング。
たとえば遊園地。
楽しみに溢れた次の日を思い浮かべて一緒に寝るの。
そう、思ってたのに。
なんで？
これから殺されるとわかっていて平然と私を呼ぶの？
8「やだ」
子供が駄々をこねるように首を横に振る。
美智瑠「おいで。ちゃんと……話そ。」
そこから動く気配なく、それでも姉は手招きをして待つ。
後ろには祐基。
後退することも出来ず、あげくに祐基は私の背中をとん、と押した。
8「なんで、抵抗しないの？」
1歩進んだ私はふるえる声で問いかける。
8「生きたいと、思わないの？」
美智瑠「私はね？Aが人狼だって分かった時からこんな日が来るってわかってたから。」
8「なにそれ、答えになってないよ」
美智瑠「Aが、騎士に囲まれててくれてよかったって話。」
8「余計にわかんないよ……」
美智瑠「A、私ね？もう、帰りたくないのよ。」
8「え？」
美智瑠「疲れてたの。どんなに頑張っても認められない日々に。何か面白い事起きないかななんて他人任せの単調な日々に。だから、ここへ導かれた日に、ぞくぞくした。あ、私生きてるんだって。でもね、それと同時に思ったの。やっと死ねるって。」
やや伏し目がちになったかと思えば淡々と話していく美智瑠。
ゆっくりゆっくり私はそれを拾って噛み砕く。
8「どう、して……」
美智瑠「Aに再会っていう心残りも達成出来たし、面白い日々が来た。……これ以上の現実なんてないんだからここで消えてなくなった方が辛くないじゃない。だから……」
伏し目がちだったその目は、また私を射抜く。
8「……っやだ。」
再び、私は駄々をこねる。
だって、姉のその先の言葉が予想できたから。
美智瑠『「私を殺して、A」』
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Orin(プロフ) - 鎖骨ちゃんさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けてとても嬉しいです。コメント、励みになります。のんびりではありますが更新は続けていきますのでぜひまた読みに来てください (2019年4月11日 2時) (
レス) id: c85c65d7e8 (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨ちゃん(プロフ) - とても面白いです。更新楽しみにしております！！ (2019年3月1日 17時) (レス) id: b22569305a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Orin | 作成日時：2019年2月17日 2時
