おやすみ、 ページ5
樹が病室を出ていき、また病室で一人になる。
混乱も混乱よ。
今日だけでなんでこんなに好き好き言われてるの私。
なんで急にモテ期？？？
わけわかんないんですけどー！！！！
って。叫びたいわけですが、もう消灯の時間でございます。
叫んだらブーイング必死なわけです。
必死に口に蓋シテマス。
…きょも、起きてないかな。
なんて思いながらスマホを手にすると、着信音が響いた。
「あ、もしもし？」
秒でその電話を取ると、聞きたいと思ってた声が聞こえてくる。
「もしもし、きょも？」
京「早いね」
「スマホ持ってたから」
京「大丈夫？」
「え？」
京「樹から聞いたよ。告白ラッシュで混乱してるみたいだって」
「…あぁ。樹、自分で言ったんだ？」
京「うん。Aの話聞いてやってって。」
「そーゆー着回しができる男だな…田中…」
京「そうやって冗談言ってても別にいいんだけどさ。」
「うん？」
京「俺としては心配してんだけど。」
「まぁ、だいぶびっくりしたし、どうしてもいいかわかんない。」
京「A、気づいてなかったしね」
「ってことはきょもは知ってたの？」
京「知ってた…やつもいるね」
「全員じゃないんじゃん」
京「Aよりは知ってたよ」
「そこで張り合う必要ある？」
ついつい彼の発言に笑う。
京「…笑えるならよかった」
「え？」
京「さすがに失恋したばっかのAに告白ラッシュはきついんじゃないかと思って。」
「…んー…まぁ、なんとか、大丈夫…てかね、」
京「ん？」
「今日、さっくんが来たんだよね…」
京「なんで？」
「お母さんがなんにも知らないから病棟移動があるからみてきてくれって頼んだみたい」
京「そうなんだ…大丈夫だった？」
「…私、すごい嫌な態度取っちゃった。」
京「え？」
「せっかく来てくれたのに…」
京「A…大丈夫。さっくんはそれくらいでどうにかなる男じゃないでしょ。どんな態度だったかわかんないけど…ずるずる引きずっちゃうよりいいんじゃない？」
「ん」
きょもなら、そういってくれる気がしてた。
だから、きっと話したんだと思う。
嫌な女だなって…思う。
フォローしてくれるのをわかって、味方してくれるのをわかっていってる。
京「今日はもう会いに行けないけど、明日また行くから話聞くよ。」
「…ありがと」
京「寝れそう？」
「なんか、きょもと話してたらちょっと落ち着いた。」
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作者名：Orin | 作成日時：2020年11月9日 0時
