雪の果てはどうか君の薬指に宝石を。② (ページ15)

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気まずそうに手を挙げてみる彼は、苦笑いをしてる。

「とりあえず入って。」

思ったよりも冷たい声になってしまって良心が痛む。

でも、決別した想いを少しずつでも消すためには必要だと思い込む。

彼の顔をまっすぐに見つめることなんてできなくて目をそらしながら私は部屋の奥へと進んだ。

ぱたん、と扉の閉まる音聞こえる。

佐「…A」

「数分経ったら出てって。」

佐久間くんが話し出す前にそういい放って私はベッドへ寝ころび、壁側を向いて目をつむった。

存在を拒否するように。

ひどい女だってこと、わかってる。

もう希望はないんだってわかった瞬間、こんなにも態度を変えるなんて。

佐久間くんも、こんな女もう嫌いになるでしょう？

佐「A」

もうその名前を呼ばないで。

佐「ねぇ、聞いてよ」

泣きそうな声に、耳をふさぐ。

もう何も言わないで。

私の気持ちをもてあそばないで。

佐「いやだ」

ぎし、とベッドがきしむ音がして、揺れたかとおもうと私の顔に、影が落ちる。

佐「いやだよ、A。」

ぽた、と頬に冷たい何かが降ってきた。

そっと瞼を開いて見上げると、そこには大粒の涙を流しながら私に覆いかぶさっていた

あの日、期待した光景が私の前に広がっていた。