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Side Shota
渡「別に確実に俺を選べ！とか言ってないからな！候補には入れといて！」
気まずそうなAに居心地悪くなって俺は立ち上がった。
渡「お前が誰を選ぼうが恨みっこなしってか…お前がちゃんと幸せになるんなら…俺だけじゃなくてほかのやつらも納得すると思う。…だから気にせずゆっくり見ていけばいいから。俺も他も、長期戦覚悟してると思うし。」
フォローするようにそう早口でしゃべると、Aは切なげに笑って見せる。
そんな彼女の頬を両手でつまむ。
渡「そーやって無理に笑おうとすんな？笑えねーときは笑わなくていいんだって。少なくとも俺たちの前では！とりあえず、お前も気まずいだろうし、困ってるってことはわかってるから…今日はもう帰る。」
ぱっとその手を離すと、困ったように眉尻を下げるA。
渡「また来る！言っとくけど！これから遠慮するつもりねぇから！お前は体調整えながら覚悟してろよ！」
言い逃げするみたいに俺はさっさと病室を出た。
「えっちょ、しょっぴ」
小さな声が聞こえたけど、聞こえないふりして扉を閉めた。
あー…やべえ
まじで言っちゃった。
後悔にも似た感情が湧き出て来るけどもう言っちゃったものは仕方ない。
そう思って前を向くと、そこには樹。
田「先越されたわ」
なんて苦笑する樹。
渡「残念でしたー」
田「出直すべきかなー」
渡「さぁな」
田「俺もこれでも結構勇気だしてきたんですけどー」
恨めしそうなその顔に俺は笑う。
渡「飲みにでもいく？」
田「いかねぇわ」
渡「えー？」
田「…俺だって男みせてくんの」
渡「もーいいじゃん？Aキャパオーバーしてるって。」
田「お前…」
からかうように言葉を紡ぐと樹は眉間に皺を寄せる。
田「マジで今は冗談に取れないから勘弁してくんない？」
渡「だよなー」
田「とりあえずしょっぴーは帰りなよ」
渡「お前とAを二人きりにしたくない気持ちはわかってくんないの？」
田「今はマジで無理」
渡「はいはい。すっげー不満だけど帰るわ」
田「早く帰れ」
渡「…ひど。」
まぁ、気持ちはわかる気がするけど。
告白して少しだけ気持ちが軽くなってる俺。
今だから樹をからかえるんだけど、逆だったらマジで無理だろうな。
そう思いながら俺は樹の肩をぽん、とたたいて帰路につく。
がんばれ、とは言えねぇけど。
それでも、正々堂々戦おうなって意味を込めて。
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作者名：Orin | 作成日時：2020年11月9日 0時
