Snow Dream 5th (ページ33)

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桐「なぁ、A？Aはメンバーが頑張りすぎて倒れたら迷惑やと思うん？」

真摯な瞳が私の顔を真剣に覗き込む。

その言葉に私は首を振った。

桐「ほな、Aの周りのやつやってそうやって。迷惑やと思ってなんてない。俺が保証する。ただ心配なんやって。な？」

真剣に諭すような口調の照史くん。

そういわれてようやく私は視点を変えて見られた。

例えばそれがラウだったら。

ラウに何かあって、トラウマを抱えてしまって眠れてなかったら？

眠れないうえに忙殺されて、誰にもつらいと言えずに迷惑かけられないといって頑張りすぎてたら？

その結果、倒れてしまったら？

私はその時、迷惑だと思う？

…答えは当然Noだ。

ただ心配で。

知らなかった自分を…教えてもらえなかった自分を…気づけなかった、気づこうともしなかった自分が情けなくなってムカついて、そうして悲しくなるんだ。

あぁ、そうか。

ひーくんが怒ったのも、みんなが言ってたこと。

視点を変えてみればすごく温かくて私は何を意固地になっていたんだろう。

なんて。

「…っ」

涙腺が緩み、ぽろっと涙が一粒頬を伝う。

その瞬間、堰を切ったように涙がとめどなく流れていって。

ちゃんと理解できなかった私が悔しくて。

理解しようとしていなかった自分が馬鹿みたいで。

わけわかんないけど流したくもないのに涙があふれていった。

桐「え、俺なんかあかんこといった？！え、待って待って？ごめん！無神経やった？」

慌てたように私の頬の雫をぬぐってくれる照史くん。

それは違う、と言いたいのに声が詰まって何も言えなくなって。

必死にぶんぶん頭を横に振る。

桐「…おっ落ち着くまで、しっかり泣いたったらええよ。俺が隠しておくから」

私のことを優しく抱き寄せて、照史くんがそういう。

優しくなでられる頭。

あぁ、こんなに泣いてしまったら目が腫れちゃう。

もうすぐ出番なのに。

そう思いながらも溢れ出る涙を止めることができなかった。

涙を隠すように照史くんは自分の出番が回ってくるまでそっと寄り添っていてくれた。

スタッフさんたちやほかの共演者の人たちにも泣いている姿をさらしてしまったことで心配をかけてしまって、現場は一時騒然としてしまったけれど。

照史くんがその理由を自分がからかいすぎちゃった、だなんてごまかしてくれて事なきを得たのだけど。

撮影の合間、時折心配そうな視線に気づいては、私は苦笑いを返してた。