Snow Dream 4th (ページ34)

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いつか、このファーストキスと嫌な思い出として思い出すのなら。

渡「まじで？」

いつか、翔太と笑ってこんなことあったよな、なんて笑いたい。

私はこくりとうなずいた。

「塗り替えて、くれるの？」

渡「ほんとにいいんだな？」

真剣な目で、私を見つめる翔太。

私はもう一度うなずいた。

すると、優しくその両手が私の頬を包んだ。

ゆっくりと近づく顔。

私はそっと目をつむる。

ちゅ。

小さな、かすかなリップ音。

ゆっくりと目を開くと、翔太の瞳一杯に私が移る。

少しでも動けば、再びキスできそうな距離。

渡「上書き、できたか？」

「…ど、かな。」

今更ながら、整っている彼の顔が至近距離にあること、そしてキスをした事実に鼓動が早鐘を打つ。

渡「…じゃぁ。もう一回。」

そういった彼の顔がまた近づいてキスをする。

「ん」

さっきのキスはあんなにも嫌だったのに。

どうして今は嫌じゃないんだろう。

どうしてこんなにもドキドキするんだろう。

そんなことを思いながら、先ほどよりも長いキスが終わり、翔太が離れていく。

渡「言っとくけど。これ、俺のファーストキスだから。」

「…よかったの？」

渡「いいの。お前のファーストキスも、俺だから。」

「…ん。」

渡「初めての男は俺だから。」

「うん」

そのまま抱きしめられれば、いつか私の鼓動が彼に聞こえてしまいそうで、さっき抱きしめられた時よりも緊張した。

ねぇ。

もう、一生言えないけど。

あの日離れていく唇が少しだけ名残惜しいと感じていたの。

このまま、この一瞬だけ切り取って永遠になればいいとさえ思ったの。

明日から続く地獄の中の小さな光だった。

あれは、確かに私のファーストキスだったよね。

その小さな光を、思い出をぎゅっと握り締めていたからその地獄を私は生きてこられた気がするの。

本当なら、あの日、すべてを塗り替えてしまいたかった。

なんて、ずるいかな。