愛しいあなたへ鎮魂歌を ページ26
時は過ぎていき、”家族葬”という形でお葬式が執り行われる。
厳かなその式の中央にはジャニーさんの写真が飾られていて。
お焼香をあげ、献花をして、ただ儀式的にそれを執り行った。
それが終わっても、現実を受け入れられない自分がいて。
煙となって空へ溶けていく彼を、私はぼんやりと見上げる。
「っっ…」
岩「A！！」
ジャニーさんがもういないと考えればもうその場に立っていられなくて走り出す。
どこか、近くへ。
あの煙の近くへ。
すぐ近くのビルの階段を駆け上り、屋上へと出る。
どんなに手を伸ばしてもその煙が空へ溶けていくのを止められない。
そのひとかけらでさえ、その手に残ってはくれない。
「じいじ！！じい、じぃ！」
空へ向かって叫んでも、その声さえも空気に溶けて消えるだけで。
辛くてたまらないのにどうしてか彼に歌った曲を思い出す。
笑顔のジャニーさんが手をたたいて喜んでくれた曲。
その顔が浮かんで、私の胸を締め付ける。
記憶を頼りにいつもより少しかすれた声で口ずさむ。
「人波の中で…いつの日か…」
思い出す思い出たちに、枯れていたはずの涙がまたあふれていく。
アカペラで歌うその歌声が、煙に交じって空へ溶ける。
それが、彼への私なりの鎮魂歌。
ひとかけらさえこの手に残らないのなら。
いっそ、この歌が彼のひとかけらとなって一緒に溶ければいい。
「偶然に出会えることがあるのなら その日まで…」
最期にわがままばっかりいってごめんなさい。
「『さよなら。』僕を今日まで 支え続けてくれたひと 」
最期に、泣いてばかりいて笑って送り出せなくてごめんなさい。
「『さよなら。』今でも誰より たいせつだと想えるひと」
何度いっても足りないありがとうを、私は何度あなたに伝えられたのかな。
「そして何より二人が ここでともに過ごした この日々を となりにいてくれたことを」
あなたに出会った日、あなたに認めてもらえた日、あなたに励まされた日、あなたに叱られた日、あなたに褒められた日、あなたを怒らせた日、あなたが私に夢を与えてくれた日。
全てが私の胸に刻まれている。
きっと私は
「僕は 忘れはしないだろう」 忘れはしないだろう。
「『さよなら。』消えないように…」
こんな私だけど、絶対にあなたに胸張って…自信をもってこの手一杯に素敵な愛を、お土産を持っていつか天寿を全うして会いに行くから。
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Orin(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいです！書く活力になるのでもっと頑張りますね！！ (2020年3月17日 11時) (
レス) id: 02ec94d645 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最近コロナウイルス流行ってるみたいなので気を付けて更新大変だと思いますが更新頑張ってくださいね (2020年3月16日 8時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Orin | 作成日時：2020年3月15日 19時
