中間家の日常 (ページ9)

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智洋side

久しぶりのAと2人きりの時間。

何して過ごそかな。

智「A？何したい？」

「なんもしたくない。」

智「なんもしたくないん？しんどいとか？」

「ううん。最近なんにもしたくないの。学校の宿題溜まってるから終わらせないとだけど。」

智「持っておいで。兄ちゃんおしえたるから一緒にしようよ？」

「わかった。」

しばらくして持ってきたのは算数の教科書とノート。

文章問題も読んで計算式を出して計算する問題をやってるみたい。

教科書を開いて一生懸命文章問題を読んでいるんだか全然ペンが進まない。

智「どこがわかんない？」

「日本語がわかんない」

はい？日本語がわからんってどういうこと？

その日本語がわからん俺には。

智「ちょっとずつ読んでいこか。」

文章問題もちょっとずつ区切って何度も意味を説明しながらやっと解けた問題。

たった1問解くのに軽く30分は使っている。

まって。

小学校1年生からこんな調子やったん？

なんでもっと早く気がついてあげれんかったんやろ。

宿題も基本1人でやらせてたもんな。

ちゃんと見てなかったって証拠やな。

兄貴失格や。

Aは疲れたのかソファーでぐったり。

背中をとんとんしてやると直ぐに寝息が聞こえてきた。

どれくらいだったやろ。

俺も一緒にウトウトしてたら泣き声で目が覚めた。

智「A？どしたん？大丈夫やで。」

声をかけ続けても泣き続けてる。

むくっと体を起こして腕に噛みつき出した

智「そんなんしたら痛いからやめよ。な。大丈夫大丈夫。智兄の顔みて？」

何度声をかけても声は届かず俺までパニックになってしもてる。

震える手で電話をかけたのは照史兄ちゃん

出てくれるかな

照「もしもし？どした？なんかあった？」

智「Aが。癇癪起こしてずっと腕噛んでるんよ。声も届かんくて。どうしたらいいか分からんくて。」

照「わかった。牧野先生も今一緒なんやけど一緒に来てくれる言うてるから今から家帰るわ。15分ほどだけ頑張ってくれる？電話繋げててええから。その前にAの耳に携帯当ててくれん？」

智「わかった。A。あっくんやで。」

そっと耳に携帯を当てる。

照「A。しんどいな。大丈夫やからな。あっくんすぐ帰るからな。もうちょっとだけ頑張るんよ。絶対助けたるからな。約束な。智くんにどうぞして」

差し出された携帯をもう一度耳に当てる

照「智。落ち着いてって無理かもしれへんけど智まで怪我せんようにだけな。」