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そして、仕事が終わって着替えて店のカフェスペースへ戻ると、コーヒーを飲み切ってスマホをいじってる松村君が本当に待ってた。
「ごめんね、お待たせ」
そういいながら近づくと、サングラスをずらして私を確認すると、にこっと笑う。
松「大丈夫、いこっか」
「うん、何食べる？」
松「俺はなんでもいいかな。Aちゃんに合わせるよ」
そんな風に会話しながら店を出る。
出るとき、なんだかにやにやしてるスタッフの目が気になった…。
明日、たぶん尋問ですね。
なんて思いながら松村君の隣を歩く。
「…んー。イタリアン、中華、和食、洋食。はい。どれっ？」
松「じゃぁ…イタリアンで。」
「OK、じゃぁ、この近くにパスタのおいしいお店あるからそこにしよ。この前さっくんといったときも好評で…」
あ。
そこまで言ってから気づく。
自然と出てきたさっくんの名前…
松「そうなんだ？」
私が途中で発言をやめたことで、不思議そうな顔をする松村君。
「うん…えっと…やっぱやめよ。違うとこにしよ。イタリアン、探すね」
松「なんで？いいじゃん、そこで」
「えっと…」
急に行き先を変えると言い出した私に怪訝そうな松村君。
でも、言い訳が思い浮かばなくて。
松「佐久間連れてったってことは個室なんじゃないの？」
「え、あ…うん」
松「そういうとこ、ちゃんと気にしそうだもんね」
「…あれでも、アイドルだしね」
松「そこにしよ」
結局、向かった先はさっくんといったパスタ屋さんに決まった。
店について、席へ通されると、松村君がサングラスと帽子をとる。
松「何かあったの？」
「え？」
松「いや、元気なさそうだったし」
「だから元気だよって」
無理やりかもしれないけど笑って見せると、松村君は困った顔で笑った。
とりあえずで注文を済ませる。
「最近忙しそうだけど、今日は早かったの？」
松「ううん、実はこの後仕事。」
「え、なのにこんなとこでご飯食べてていいの？」
松「深夜のラジオだけだし、大丈夫。」
「そっか？」
松「ってか、珍しくAちゃんが誘いに乗ってくれたし、こっちのが実際大事でしょ」
「どこが」
珍しいような冗談を言う彼に、クスクスと笑った。
松「ってかAちゃんこそ仕事後に俺とごはんなんて大丈夫だった？彼氏とかさ。」
「いっつも彼氏がーとかって聞いてくるけど毎回言ってるようにいないから」
松「そっか、まだできてないか」
松村君が、ほっとしたようにつぶやいた。
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作者名：Orin | 作成日時：2020年11月1日 2時
