七話 二人の妃 ページ8
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現在後宮で一番大きな屋敷を持つ、東宮のご生母。
帝が后(正室)を持たぬ中、男児を唯一持つ彼女__梨花妃がここの最高権力者といえる。
罵る女と俯く女とうろたえる女達と仲裁する男。
「妓楼とあんまり変わらないなあ...」
『ある意味見慣れた光景だよね』
至極冷静な感想を持ち、第三者、つまり野次馬の1人に加わる私と猫小姐。
罵る女は後宮の最高権力者で、俯く女はそれに次ぐ存在。うろたえるのは侍女達で仲裁するのは既に男でなくなった医官。
『風貌とささやきから察するにそんな所ね』
「確か東宮の生母の梨花さまと、公主を産んで帝の覚えもめでたい玉葉さまだったかな」
宦官の医者については私は知らない。
ただ、前に猫小姐がこの広い後宮の中で医官と呼べる存在は1人しかいないと教えてくれた。
「お前が悪いんだ。自分が娘を産んだからって、男子の吾子を呪い殺す気だろう!!」
美しい顔が歪むとそれは恐ろしいものだ。
幽霊のように白い肌と悪魔のごとき眼差しは、頰に手を添える美女に向けられている。
「そんな事無いとわかっているでしょう。
『(頰が赤い__。平手で叩かれたのか)』
赤い髪に翡翠の目を持つ女性は冷静に答える。
『随分綺麗な容姿ね』
「西方の血を色濃く受け継いでいるんじゃない?」
玉葉妃は顔を上げると医師の顔を見る。
「ですのて娘の方の容態も診て頂きたいのです」
『(なるほど。原因はあの医師か)』
医師が東宮ばかり診て、自分の娘を診ないことに抗議をしに来たようだった。
気持ちはわからなくもないが、後宮という仕組みから男児優先は当然である。
医師にしてみれば、いわれのないことと言いたそうな顔であるのだが。
『「馬鹿だろう、あのやぶ医者」』
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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (12月14日 1時) (レス) @page34 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - オチは出来たら愛されエンドか全員のオチが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (10月24日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 続き待ってます!更新頑張ってください! (2022年7月3日 18時) (レス) @page34 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)
akane0731akane(プロフ) - 面白です!更新待ってます! (2020年4月14日 22時) (レス) id: 4d9b400674 (このIDを非表示/違反報告)
水無月胡桃(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!!励みになります! (2020年1月30日 16時) (レス) id: 1710749122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水霧 | 作成日時:2019年11月30日 17時