薬屋と妓楼の少女

二十話 同情 ページ21

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玉葉妃の四人の侍女たちは大変働き者であった。


翡翠宮はほぼ、四人の侍女で回っている。


尚寝、つまり部屋掃除専門の下女も来るらしいが、寝所以外、内部の掃除は全て四人で終わらせる。


ちなみに、これは本来の侍女仕事の区分では無い。


『(新参者の仕事は毒見と御世話くらいか)』


翡翠宮の侍女たちは、猫小姐に一番嫌な仕事を押し付けたことに罪悪感を持っているらしい。


紅娘以外は誰も猫小姐に仕事を頼んでいなかった。


『(私は偶に掃除は頼まれてるが)』


手伝おうとした猫小姐を「いいのよ」とやんわり断って、部屋に押し込められている所を見た。


「(落ち着かない)」


やる事が無い姉は、寝台に背中を預けていた。


ちなみに私も最近は仕事もなく、要は暇である。


猫小姐が呼ばれるのは二回の食事と昼の茶会、数日に訪れる帝の滋養強壮料理を食べる時。


偶に紅娘が気を利かせて仕事を頼んでいるようだが


すぐに終わる簡単な仕事なようで、暇を持て余す猫小姐を何度見たことか。


『(最近は食事も豪華になったよな〜)』


茶会には甘い菓子があり、余れば貰える時がある。


蟻のように働くことが無いので、栄養は肉になる。


「(家畜にでもなった気分だ)」


毒見役をやるにあたり、猫小姐には不適な点はもう一つある...そうだ。


妹である私より痩せ型な猫小姐。彼女は毒に当たっても見た目ではわからない。


毒の致死量は身体の大きさに比例する。


簡単に言えば、体重があればあるほど、毒に当たっても死なないということだ。


だが、私の姉は凄い。


『(痩せる程の毒なら見分けられるだろうし)』


多くの毒は、致死量を超えても死なないだろう。


『(他の人からは私が姉にみ見られがちだし)』


かわいそうな使い捨ての駒として、侍女たちは猫小姐に同情しているようだ。


同情するのはかまわない。だが、


『(菜の具が他の者より多いのは、解せぬ)』




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