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十三話 発覚 ページ14

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目的地は、案の定玉葉妃の住まう宮だった。


壬氏が扉を叩くと、凛とした声が短く。


「どうぞ」


中へ入ると、赤毛の美女と可愛らしい赤子がいた。


玉葉妃に愛おしそうに抱かれてる赤子は、柔らかい赤毛の巻き毛で、薔薇色の頰をしている。


半開きの口から可愛らしい寝息が聞こえた。


「かの者たちを連れてまいりました」


「手数かけました」


『(さっきの崩れた口調はどこへやらだな...)』


玉葉妃は壬氏とはまた違った暖かい笑みを浮かべると、私と猫小姐に頭を下げた。


身分違いの行動に、私たちは揃って頭を下げる。


「そのような事をされる身分ではございません」


『どうか頭をお上げください』


失礼のないように、言葉を選びながら。


もっとも生まれが卑しいから言葉が合っているかなんてわかりっこないのだが。


「いいえ。私の感謝はこれだけではありません」


『(ま、まさかバレてる...?)』


「あなた達はやや子の恩人ですもの」


『(バレてました、はい)』


「何か勘違いされてるだけです。人違いでは?」


猫小姐は珍しく冷や汗をかいていた。


そりゃそうだろう。丁寧に言ったところで、否定には変わりないのだ。


首が刎ねられるのはまっぴらごめんなのだが、


『(かといって関わり合いにはなりたくないな)』


長い物には巻かれたくないのである。


玉葉妃が少し困った顔をしたのに気付いた壬氏は、ぴらぴらと布切れを見せつける。


「これは下女の仕事着に使われる布なのだが、」


『そ、そういえば似てますね』


今それを出すのは卑怯だろう。


あくまでしらばっくれる。無意味だとしても。


「ああ、尚服に携わる下女用のだ」


『(なんで知ってんだよ)』


宦官は6つの尚に分けられる。


衣服に携わるのが尚服で、洗濯係を主とする私と猫小姐はそこに分けられる。


喪の内側、ひだでうまく隠れている部分に、奇妙な縫い目があることも調べればわかるだろう。


『(つまり、証拠はこの場あると)』


壬氏が玉葉妃の前で無礼な真似をするとは思わないが、しないとも限らない。


「簡単な話です」


『毒を含む高級白粉を使わなければいい』



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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (12月14日 1時) (レス) @page34 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - オチは出来たら愛されエンドか全員のオチが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (10月24日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 続き待ってます!更新頑張ってください! (2022年7月3日 18時) (レス) @page34 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)
akane0731akane(プロフ) - 面白です!更新待ってます! (2020年4月14日 22時) (レス) id: 4d9b400674 (このIDを非表示/違反報告)
水無月胡桃(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!!励みになります! (2020年1月30日 16時) (レス) id: 1710749122 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水霧 | 作成日時:2019年11月30日 17時

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