絶対信じちゃダメな人。 Fuma.K

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your side




風磨「はい、じゃあAちゃんはどれが見たい？」


連れてこられたのは映画館。


そもそも映画にそこまで興味がなく、


特に気になっているものはなかった私は、


最近CMなどでよく見かける話題作を指差した。


風磨「へー。やっぱり恋愛系がいいんだね！」


そう言われ、なんだか恥ずかしかった。


別に恋愛ものが好きなわけではない。


私の知っている作品がたまたま恋愛系だっただけなんだけど…。


まぁ、いっか。


風磨さんはふふっと笑い、


私がお財布を出す暇もなく、


チケットとポップコーンを注文すると


風磨「Aちゃん、何飲む？」


って。


A「じゃあ、オレンジジュースで。」


結局、私が映画館で発したのは、


その一言だけだった。





席に着くと、話題作というだけあって、ほぼ満席。


なのに、私の横、そして反対側の風磨さんの横だけは誰も座ってこない。


そして風磨さんは席についてもなお、


私の手を離す気配はない。


むしろ、さっきまでより強く握られている気さえする。


いくらデートとはいっても、


映画を見るときくらいは手離すでしょ、普通…。


不思議な顔をしている私に風磨さんがそっと耳打ちした。


風磨「両隣に他人がいたら、

こんなイチャイチャできないでしょ？」


って。


え？


ってことはもしかして…


わざわざ４人分の席を取ったってこと？


やることが手慣れすぎている…。


手慣れすぎていてチャラささえ感じるのに


それなのになんだか恥ずかしくて


自分の顔が赤らんでいるのが見なくてもわかった。





私が俯いているうちに、映画が始まる。


キャストも豪華だし、ストーリーもおもしろい。


でも、それ以上に気になるのは、


いわゆる胸キュンシーンというものになると


ぎゅっと握られる手。


おかげでなんだか映画に集中できない。


そしてそんなことでドキドキしてしまっている自分も恥ずかしい。


気づくと映画は終わっていて。


風磨さんはゴミをまとめて私の手を引いて映画館を出た。

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