絶対信じちゃダメな人。 Fuma.K

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your side




帰り道。


A「あ、また1個落ちちゃった。

風磨くん、それ拾って！」


風磨「お前さぁ…(笑)

なにも全部持って帰らなくてよくね？(笑)

風船はそのへん置いとけよ。」


A「やだ！全部持って帰る！」


私の腕は


薔薇の花束とクマのぬいぐるみ、そして風船で


いっぱいいっぱい。


風磨「じゃあ俺が持ってやるから…」


A「ダメ！自分で持ちたいの！」


風磨「なんでだよ(笑)」


A「だって全部、私が風磨くんからもらった

大切なプレゼントだもん。」


風磨「なにその理由。可愛いすぎ。」


そう言っていきなり後ろから抱きついてきた。


A「ちょ…風船、また落ちちゃう…」


恥ずかしくてそんな可愛くないことしか言えない私。


風磨「ふふっ。」


風磨くんは笑うと、


風船をいくつか私の手から奪い取った。


A「ね、ちょっと！返してってば！」


そう言って伸ばした私の手を、


風磨くんの大きな手が包み込む。


風磨「そんなにいっぱい抱えてちゃ、

手、繋げねぇだろ？」


A「…」









ほんとに、風磨くんはズルい。









A「で…でもなんで5回目記念？

普通は10回とかじゃない？」


恥ずかしくてつい、話をそらす。


風磨「え、そう？

歌手とかだってお祝いしてるじゃん。

『デビュー５周年〜！』って。

それに俺、5って数字、好きなんだよね。」


A「なんで？」


風磨「理由なんてないけど、なんとなく。」


A「ふーん。」


その日はこれ以上ないってくらい幸せな気持ちだった。









夢にも風磨くんが出てきて。


でもその夢も、


最後には風磨くんがどこか遠くへ行ってしまう、


悲しい夢だった。









日に日に萎んでいく風船のように、


私の幸せな気持ちも小さくなっていった。









幸せを感じれば感じるほど、


その幸せがホンモノではないという虚しさに襲われる。


でもそれでもいいって決めたのは、


紛れもなく私自身。


それ以上を望むのは、きっと、バチが当たるから。


ニセモノでもいい。


今はただ、


この幸せが少しでも長く続きますようにと願っている。


願うことしか、私にはできないから。

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