特別なR ②【rtrt】 (ページ10)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:5,655 hit

・ページ10

もっと他のことをしたい、自分が好きな絵で生きていきたいと思った。

だけど、この家を継げるのは私だけ、親は酷く反対した。

このままだと、私の運命は1本道で、したくもないようなことをして、夢を踏み潰されてしまう。

だから私は絶交して今の生活を選んだ。

親不孝者だと思う人もいるかもしれない、だって、跡継ぎの家計に産まれたら将来なんて初めから決まってるんだから。

親は一生懸命働いて私の事を育ててくれた。

だけど、愛はくれなかった。

毎日毎日仕事仕事で、家族と顔を合わせるのは食事の時くらい。

食事の時だって全員揃わない時もあったかもしれない。

私はずっと1人で、おはじきを飛ばして遊んでた。

これからもずっと、我慢をして生きていくのは耐えられなかった。

私も子供の時はこの家を継ぐことしか出来ないと思ってた。

だけど、大人になって、自分一人でも動けることが分かった。

だから、私は大きくて狭い檻の中から逃げ出した。

なのに、それなのに…どうしてまた檻の中に入れられるの？

私の目からは自然と涙が溢れてきた。

電話の言葉の通り、あの人は私の事より仕事のことしか考えていない。

私の結婚相手が飛鳥家を継いでくれるという事だけで、私の気持ちなんかお構い無しで話を進める。

何をしてでも私を檻に引きずり入れようとする。

やっぱり、私が大人になっても大きな権力には抗えないのだ。

私は、曇った心のまま、絵を売りに外へと出かけた。