36 日常 ページ40
一晩実家で過ごして、朝、レトルトくんと東京へ向かうためこの家を出る。
玄関を出て振り返ると、母や雪さん、沢山の人が見送ってくれた。
「A、行ってまうんやね…。」
「うん。でも、消えるわけじゃないから。」
「そやね、何時でも、戻ってきんさいね。ここは、あんたの実家なんやから。」
「ありがとう、お母さん。」
私がそう言って微笑むと母も微笑んだ。
「ありがとうございました！」
レトルトくんが隣で礼をすると、私も小さく礼をしてついにここを出発した。
なんだか、ここにいた時間がとても長かったように感じる。
でも、やっぱり短かったような気もする。
もうよく分からないけど、母とも仲直り出来て、雪さんが跡継ぎになってくれて、私はレトルトくんと再会できて。
最高な結果になったと思う。
私はレトルトくんを見上げて言う。
「あ〜、またレトルトくんに助けて貰っちゃったな。」
すると、レトルトくんはニヤッと笑って言った。
「当たり前や。男は女を助けるもんやからな。」
「ふふっ、レトルトくんありがとう。」
レトルトくんの前で笑顔になれる、レトルトくんと笑い合える。
そんな時間が何よりも幸せだった。
正午。
私達は東京に着いた。
そこで私はある重要なことに気づく。
「あっ！私、マンションの契約解かれてるんだった！！どうしよう…。」
そう言うとレトルトくんは私の方を向いて言う。
「そんなら俺ん家来ればええやろ。」
「えっ！！？」
「ていうか、元からその気やったんやけど。」
「ええ！！？」
という事で、これから暫く、というか私の中ではずっとレトルトくんの家で暮らすことになった。
久しぶりのレトルトくんの家の玄関。
扉を開けて中に入る。 しんとした空気。
リビングへと続く扉を開けると…。
パッーン!!
急な破裂音と共に綺麗な色の紙が舞った。
「「「A、おかえりー！」」」
「っえぇ！？」
目の前には、キヨと牛沢さんと、あと見覚えがない人達がいた。
クラッカーを持ったキヨが笑顔で話しかける。
「A、おかえり。よく頑張ったな。」
私は何が起こっているのか分からずレトルトくんの方を見る。
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作者名：シーチキン | 作成日時：2021年3月31日 17時
